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一度折れた尹政権…福島原発汚染水・佐渡鉱山、日本に相次いで譲歩か

登録:2023-03-08 06:00 修正:2023-03-08 07:35
日本、「外交・安全保障」活用し圧力かける可能性も
尹錫悦大統領が昨年11月、カンボジア・プノンペンのあるホテルで開かれた韓日首脳会談で、日本の岸田文雄首相と記念撮影を行っている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 韓日関係の最大争点である強制動員被害者賠償問題と関連し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が日本に大きく譲歩する案を発表したことで、他の敏感な懸案においても日本の要求に屈服しかねないという憂慮の声があがっている。尹大統領が「外交・安全保障」分野における韓米日の協力に重点を置いて対日関係改善に乗り出したため、日本がこれを機に執拗に譲歩を要求する可能性が高い。

 日本の主流保守を代弁する読売新聞は7日付の記事で「日韓関係は、韓国側が元徴用工訴訟問題の解決策を示したことで、改善に向けて大きく前進したが、安全保障や歴史、経済など、広範囲にわたる両国間の懸案は積み残したままだ」とし、「一つ一つ打開していくことが欠かせない」と報じた。同紙は両国間の懸案解決が必要な理由として「中国は海洋で覇権的活動を強め、北朝鮮は核・ミサイル技術を高度化させている」点を挙げ、「日米韓が安保協力を深めることは急務だ」と強調した。

 日本側が考える両国の懸案は、佐渡鉱山(「佐渡島の金山」)の世界文化遺産登録▽福島第一原発汚染水の海洋放出▽日本の水産物に対する韓国の輸入禁止措置▽2018年末の哨戒機をめぐる対立▽日本軍「慰安婦」合意▽独島(トクト、日本名・竹島)領有権紛争▽対韓国輸出規制などだ。両国の国益が鋭く対立するこれらの懸案を解決してこそ、「韓日関係が健全に発展できる」というのが日本政府の考えだ。

 今後、両国間の敏感な懸案がどのように解決されていくかを示す「不吉な例」が対韓国輸出規制措置に対する日本の対応だ。日本はこの問題が2018年10月に行われた韓国最高裁(大法院)の強制動員賠償判決に対する報復ではなく、別の案件だと主張してきた。ところが日本側は、韓国産業通商資源部が6日に世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きを中断した後、ようやく輸出規制措置を正常化する「政策対話」に応じた。強制動員賠償判決をめぐり韓国側の譲歩を得てから、この問題でもさらに譲歩を引き出したのだ。

 今後直面する主要懸案は、福島第一原発敷地のタンクに保管されている放射性物質汚染水の海洋放出だ。東京電力の設備工事が大詰めを迎えており、今春か今夏ごろに放出を始める予定だ。尹政権は「国際基準に合わせて処理されるべき」という立場を示したが、これに向けた積極的な動きは見られない。また韓国が福島など日本の8県からの水産物の輸入を禁止しているのに対し、日本は執拗に解除を求めている。すでに米国、英国、台湾が「外交・安全保障」の影響などを考慮し、輸入禁止を解除した点を挙げ、尹政権が再び日本の要求を受け入れる可能性もある。

 日帝強占期(日本による植民地時代)に朝鮮人の強制動員が大規模に行われた新潟県佐渡鉱山の世界文化遺産登録も、韓日にとって厄介な問題だ。2021年に新しく作られた世界遺産協約運営指針に従って登録するためには、軋轢が生じている国と「十分」対話しなければならないため、最後まで反対すれば登録が不可能だ。これと関連し、日本の永岡桂子文部科学相は7日、韓国の譲歩と「『佐渡島の金山』の世界文化登録に向けた取り組みは別の案件」だと述べた。日本が登録要請をした場合、苦労して作った韓日関係改善の流れを逃してはならないとし、韓国政府が再び譲歩することも考えられる。

 2018年末の哨戒機をめぐる対立もやはり敏感な問題だ。韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」が東海で漂流中の北朝鮮漁船の捜索作業を行う際、近くを飛んでいた海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したと日本側が主張して始まった問題だ。読売新聞は日本政府関係者の話として、「尹錫悦政権でも『レーダー問題では韓国側は折れない』ため、防衛当局間の信頼関係は回復していない」と報じた。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1082493.html韓国語原文入力:2023-03-08 02:37
訳H.J

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