中国からの渡航者を対象にした防疫強化措置に対抗し、韓日両国に対するビザ発給を停止した中国が、日本に対しては報復措置を解除した。日本は韓国とは異なり、当初防疫措置を強化しながらも、中国人に対するビザ発給を停止しておらず、「過度な報復」という非難を受けてきた措置を急いで解除したものとみられる。
駐日本中国大使館は29日午後、ホームページを通じて「本日より中国駐日本大使館と総領事館は日本国民に対する中国一般査証(ビザ)発給を再開する」と明らかにした。一般ビザは外交、公務などを除いたビザを意味する。
朝日新聞は「発給の停止は、日本企業などの中国への出張者が足止めされることになり、中国自身の産業のサプライチェーンに打撃を与えかねない措置だった」と指摘した。中日間の経済交流が滞る影響などを懸念し、中国が日本に対するビザ発給を早期に再開したと分析したのだ。中国大使館側はこの措置を取る理由を明らかにしなかった。
中国政府は10日、中国からの渡航者に対する韓国政府の防疫強化措置への報復として、韓国国民に対して短期ビザの発給を、日本国民に対しては一般ビザの発給を停止すると発表した。また11日には、中国経由で第3国に向かう外国人が72~144時間のあいだは中国の空港など指定された場所でのビザなし滞在できるビザ免除も停止した。
韓国は中国が「ウィズコロナ」政策に転換した後、新型コロナウイルス感染症の大幅な感染拡大を受け、韓国に入国する中国からの渡航者に48時間以内の遺伝子増幅(PCR)検査の陰性確認書の提出などを義務付け、短期ビザの発給を制限した。これに比べ、日本はPCR検査などを要求する一方、ビザ発給の制限などの強力な措置は取らなかった。そのため、日本は岸田文雄首相や林芳正外相が直接乗り出して「中国が過度な対応をしている」とし、措置の早期撤回を求めてきた。そのような意味で同日の措置は過度だった対応を正常化したものといえる。
一方、韓国にある中国大使館関係者は同日、聯合ニュースとの電話インタビューで、「(韓国に対する措置は)まだ変わりがないと聞いている」と述べた。