「ウルムチのロックダウンを解除しろ!」「中国共産党は退け!」
中国で長期化する当局の厳しい新型コロナウイルス感染症の防疫に抗議するデモが本格化している。27日のロイター通信などの報道によると、前日夜、中国の第2都市上海の「ウルムチ中路」で数千人が街頭に繰り出し、2日前に新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した火災事故で死亡した10人を追悼する集会を開いた。ウルムチ中路は新疆の州都であるウルムチにちなんで名付けられた名前で、ウイグル人が多く住む町として知られている。
前日夜に始まったこのデモは明け方まで続いた。住民たちは「ウルムチのロックダウンを解除せよ、中国のすべてのロックダウンを解除せよ」と叫び、時々「中国共産党は退け、習近平は退け、ウルムチを解放せよ」といった危険なスローガンも流れた。
新疆ウイグル自治区の全地域は、8月以降100日以上ロックダウンされている。そんな中、24日にあるマンションで火災が発生し、住民が10人が死亡、9人が負傷した。中国人たちはロックダウンのせいでまともに鎮火作業がなされなかったとみている。中国の「経済首都」で発生した大規模なデモに驚いた警察数百人がデモ隊を阻んだ。一部のデモ隊はパトカーに連行された。
2020年1月に新型コロナ感染症の大流行が発生して丸3年となり、当局の「ゼロコロナ政策」に協力し苦痛に耐えてきた中国人の不満が限界に達した様子だ。上海だけでなく、北京など他の大都市でも当局の厳しいロックダウンに抗議するデモが相次いで発生している。
27日、中国防疫当局が発表した前日基準での中国の新型コロナ感染者数は3万9506人で、過去最多を記録した。今月初めに中国共産党最高指導部の決定で防疫強度を下げてから半月で感染者が急増し、中国当局が防疫の手綱を再び締めるか、緩和基調を続けるかに中国内外の視線が集まっている。
今年初めに2カ月以上続いた「上海ロックダウン」以後、小康状態だった中国のコロナ状況が再び高まりはじめたのは先月末。今年上半期の新型コロナの状況が上海、深セン、香港など東南部地域に集中して現れたとすれば、冬の入り口に近づいた今は、北京、重慶(四川省)、鄭州(河南省)、広州(広東省)、チベット自治区、新疆ウイグル自治区など中国全域で広範囲に観察されている。日本の野村証券の発表によれば、中国国内総生産(GDP)の19.1%を占める地域、人口数では全体の3分の1にあたる4億1200万人が、在宅勤務や自宅隔離など新型コロナにともなう当局のロックダウンの影響を受けている。
先月末、中国共産党の第20回全国代表大会(第20回党大会)を通じて3期目就任を確定した習近平国家主席は10日、新型コロナ防疫を緩和する20の措置を承認した。国務院が翌日発表した20の措置には、密接接触者の隔離期間を7日から5日に短縮▽感染者発生による封鎖をマンション・住宅団地ではなく、建物・単元(同じ玄関を使うところ)の単位に細密化▽行政区域ごとの全員PCR検査の禁止などが含められた。国務院は「防疫を緩和するのではなく、開放したり(防疫)努力をしないというわけでもない」とし「新型コロナ感染症が経済・社会発展に及ぼす影響を最小化するためのもの」と明らかにした。ロックダウンによる被害を減らそうとしているという理由を明確にしたのだ。
その後、以前のような問答無用のロックダウンは大きく減った。遼寧省丹東の場合、今月初めまでは1~2人の感染者が出ても住宅区域全体を封鎖していたが、この発表後、感染者が発生した建物だけを封鎖する方式に防疫政策を変えた。北京では26日、アパート団地全体を封鎖したところ国務院の指針を根拠にした住民デモが起き、封鎖を解除した。だが、中国の各省、都市、地域ごとに封鎖緩和基調を適用するのにかなりの温度差がある。また、食堂や公園、劇場などの公共施設の利用は依然として強く制限されている。
現在、中国では2020年初めから続いている厳格なゼロコロナ政策による不満が大きく累積している。習主席の3期目を控えた先月中旬に散発的に発生した反対デモでも、主な批判対象は当局の厳格なコロナ規制ロックダウンだった。現在も北京、鄭州、広州、ウルムチなどでロックダウンに対する抗議デモが続いている。
さらに大きな問題は、停滞に近い経済状況だ。中国の今年第1~3四半期の経済成長率は3%水準にとどまる。世界経済に占める割合が18%にのぼる中国経済の不振が続けば、世界経済全体と「グローバルサプライチェーン」に悪影響を及ぼすことになる。中国向け輸出を足がかりに経済回復を図りたい韓国経済の見通しも暗くならざるを得ない。
中国が防疫緩和措置を継続的に維持するか、再び厳しく締めつけるかについては、誰も確実な答えを出せずにいる。中国の「官辺論客」である元「環球時報」編集長の胡錫進氏は20日、本人のソーシャルメディアに「現在、必ず防がなければならない最悪の状況は2つ」と主張した。つまり、感染者の急増に驚いた地方政府が都市を再びロックダウンするのとは反対に、新型コロナが統制不可能な状況まで広がり国全体の防疫が崩壊するということだ。
ひとまず、今月10日に習近平3期の最高指導部が直々に決定した防疫緩和措置を簡単に戻すことは容易ではなく、今後の状況に合わせて弾力的な対応をするしかない。中国の新型コロナ状況が軟着陸に成功できなければ、ただでさえ深刻な景気低迷と物価上昇にうめく世界経済に再び大きな打撃が予想される。