世界各地で紛争が相次ぎ、緊張が高まっている中、米国の防衛企業の今年の兵器販売が急増している。
米シンクタンクのクインシー研究所は20日に発表した報告書で、集計の結果、今年初めから10月現在までの米国の兵器輸出契約額は650億ドルに達すると明らかにした。ジョー・バイデン政権初年の昨年の輸出契約総額(360億ドル)からの大幅な増加だ。
米国防衛企業の輸出契約額は、ドナルド・トランプ政権末期の2020年には1109億ドルに達した。報告書は、その翌年の2021年に輸出契約規模が急減したのは、バラク・オバマ政権に続いてトランプ政権下で活発な武器輸出が行われたことで、市場が飽和状態に達したためだったと分析した。
しかし同報告書は、今年に入って米国と中国・ロシアの戦略競争がより一層激しくなったことで、欧州と東アジアで米国製の兵器に対する需要が再び増大したと述べた。欧州ではロシアのウクライナ侵攻に刺激された国々が軍備を増強しており、東アジアでも台湾の兵器輸入が増加するなど、随所で軍拡競争が激しくなっている。報告書は、米国が中国牽制に動員しようとしている韓国と日本の軍備強化も続くと予想している。
クインシー研究所は、米国の兵器販売と供与は安保の脅威にさらされている国々の不安の解消に役立つ一方、米中関係の悪化に伴う各国の軍備強化は衝突の危険性を増大させうると指摘した。また「米国の兵器に関する政策は、戦争を防ぐというより戦争に油を注ぐケースが多すぎる」とし、現在世界で進行中の46の紛争のうち、34の片方の当事者または両当事者が米国の兵器で武装していると述べた。
同報告書は、大手防衛企業の強力なロビー力を、米国が世界に膨大な量の兵器を供給する背景としてあげた。報告書は、バイデン政権発足以降、兵器輸出契約額の58%をロッキード・マーティン、ボーイング、レイセオン、ジェネラル・ダイナミクスの4社が占めていると述べた。そして、大手防衛企業が利潤追求のために紛争の発生と激化に関心を持たない状況を改善するためには、政府と企業との回転ドア式人材移動の制限▽議会の販売遮断権限の強化▽取り引きの透明性の向上が必要だと述べた。