香港返還25周年を迎え、台湾は中国が推進する「一国二制度」方式の統一案に反対するという立場を示した。
台湾の中国担当機関である大陸委員会は1日、ウェブサイトへの掲載文を通じて、「香港の民主主義、人権、自由、法治は、25年前に比べ深刻なまでに後退した。中国共産党が香港で実施した『一国二制度』の本質は、普遍的な価値に相反することを示している」としたうえで、「台湾は普遍的な価値と制度、生活様式を守り続け、国際社会とともに民主的な防衛ラインを断固として守る」と明らかにした。
中国の習近平国家主席はこの日、香港で開かれた香港主権返還25周年記念式典に参加し、香港に対する一国二制度が「世界的に公認された成功」をおさめたと述べ、長期的に堅持することを明らかにしたが、それに対する台湾の返事ということだ。
一国二制度は「一つの国家、二つの体制」という意味で、中国が1997年に英国から香港を返還されてからの50年間は、外交・国防を除く香港の政治・経済・社会分野の独立性を高度に保証するとした約束だ。当初、一国二制度は香港ではなく台湾との統一を念頭に置いて導入された概念で、1982年1月に当時の中国共産党中央軍事委員会の鄧小平主席が初めて言及した。実際の適用は、1984年の中国と英国による香港主権返還についての議論の際になされた。鄧小平主席が台湾に提案しようとした一国二制度案は、香港に適用されたものよりもはるかに進んだもので、外交・国防に対する権限も保証しようとした。
台湾の大陸委員会は、最近香港で発生した具体的な事件を例に挙げ、中国の一国二制度の約束は虚構だと主張した。同委員会は「2019年、数百万の香港人が自由民主主義を勝ちとろうとすると、中国共産党は(一国二制度の約束を破り)2020年6月、『香港国家安全維持法』を導入して香港を強圧的に統治し、香港人の基本権を制限した」とし、「(それによって)香港の民主化運動の関係者らは監獄に行き、市民社会が崩壊し、報道・メディアは口を封じられた」と明らかにした。
さらに「台湾人民は、民主的な選挙を通じて全世界と中国共産党に一国二制度を拒否するという確固たる立場を繰り返し表明してきたことを、改めて言及する」としたうえで、「自由民主主義の憲政、台湾と中国の相互非隷属、主権侵害および併呑の非容認、台湾人民による台湾の未来の決定の『四つの堅持』が我々の基本原則」だと明らかにした。
台湾は、独立指向の民主進歩党(民進党)と統一を主張する中国国民党(国民党)が2大政党として存在しており、現在は民進党の蔡英文総統が政権を担っている。最近、中国と米国の対立が強まるにつれ反中世論が高まり、先月には国民党も「米国代表処」を開設するなど、中国と距離を置きはじめている。中国は蔡総統が政権の座に就いた2016年以降、台湾との公式関係を断ち、軍事・外交・経済など多くの方面で圧力を強化している。
大陸委員会が昨年3月に成人1079人を対象に行った世論調査では、回答者の88.2%が一国二制度による統一案に反対したと答えた。回答者の85.8%は現状維持が望ましいと明らかにした。