ロシアが欧州へのガス供給を大幅に減らし、欧州各国がエネルギー危機に陥っているという診断が出ている。「ガス配給制」施行の可能性を懸念する声も高まっている。
「ブルームバーグ」は18日、ロシアがエネルギーを武器化し、欧州でガス配給制が現実化する可能性が高まっていると報じた。エネルギーコンサルティング会社のウッドマッケンジーは、ロシアが欧州に送る主要なガスパイプを完全に閉鎖した場合、欧州は来年1月にガス備蓄量が底をつく可能性もあると見通した。
ドイツの電気・ガス・通信規制官庁の「連邦ネットワーク庁」は、もし政府が国家ガス非常事態を宣言するなら、配給制が施行される可能性が高いと予想した。配給規制を通じて余暇産業への供給を減らし、医療のような必須公共サービスを保護するためだ。同庁のクラウス・ミュラー代表はツイッターに「ロシア産ガス配送の減少で、企業だけでなく消費者も極めて深刻な状況に直面する恐れがある。我々はできるだけガスを節約して備蓄し、そのような状況を避けなければならない」と述べた。
ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツはガス需給に問題が生じた場合に備えた3段階の対応計画のうち、最初の段階を3月に発動した状態だ。さらにガス需要を減らすための様々な選択肢を検討している。住宅所有者が冬季の暖房を減らせるよう許容し、企業が消費権限を売ることができる競売プラットフォーム施行などを考慮している。ロベルト・ハーベック経済部長官は16日、ドイツ公共放送「ARD」のインタビューで、「重要で緊迫した状況だ。西側諸国とロシアとの間での力比べだ」と述べた。
今月15日、ロシアのエネルギー国営企業ガスプロムは、ドイツに繋がっており現在稼動中のガスパイプライン「ノルドストリーム1」を通じたドイツへのガス供給量を、通常より60%減らすと発表した。ガスプロムは、ガスパイプ関連装備が対ロシア経済制裁のためにカナダの会社から供給されていないためだと主張した。これはドイツを経てロシア産ガスの供給を受ける欧州各国にも連鎖的な影響を及ぼす。欧州でロシアのガスを最も多く買うドイツのエネルギー会社ウニパーは、注文量より60%少ないガス量を供給されており、イタリアのエネルギー会社エニも17日、ロシアからは要請した量の半分しか供給されなかったと明かした。フランスのエネルギー会社エンジーとオーストリアの石油ガス会社OMVも打撃を受けたと、「ブルームバーグ」が報じた。欧州各国はロシア産ガスの依存度を減らそうとしているが、容易ではない。米国から液化天然ガス(LNG)を輸入する方法が代案として推進されているが、米国のLNG輸出主要施設であるテキサス州のターミナルが火災で当分のあいだ稼動中止となるなど、悪材料が続いている。
専門家らは、今冬初旬が最も懸念されると述べた。オックスフォード・エネルギー研究所のジョナサン・スターン研究員は「欧州各国が利用可能なガスをどのように共有するかを決めることに、すべてがかかっている」として「寒さが早く到来すれば、問題も早く発生するだろう」と憂慮を示した。
韓国にも影響を与えるという見方が出ている。CNNは17日、世界最大のガス輸出国であるロシアが、先月末から自国に非友好的な国家に対して半導体製造に必須の「希ガス(貴ガス、第18族元素)」輸出を制限し始めたと伝えた。希ガスとは、ネオン、アルゴン、ヘリウムなどを含む非活性気体だ。洗濯機や自動車、携帯電話など多くの電子製品の製造に使われるこの3つのガスは、数カ月以内に致命的な供給不足が発生すると報じられ、半導体生産企業に緊張が走っている。市場研究所テックセットのヨナス・スンドクビスト先任研究員は「サムスンを抱える韓国が最初に苦痛を感じるだろう」と分析した。