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北朝鮮のミサイル発射「8発対6発」…韓日の情報判断が相次いで分かれるわけは

登録:2022-06-07 06:21 修正:2022-06-08 20:18
軌道追跡失敗など情報の差が露呈 
日本で韓米日の3カ国協力求める声高まる 
変則軌道や連続発射など、北朝鮮の戦術が多角化 
読売新聞「一斉発射で迎撃を難しくする」
韓国と米国は今月6日午前、北朝鮮による8発の短距離弾道ミサイル発射に対応し、陸軍戦術短距離地対地ミサイルであるATACMS(エイタクムス)8発を射撃した=合同参謀本部提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が今年に入ってすでに17回もミサイルを発射した中、「正確に何発撃ったのか」をめぐり、韓日軍当局の情報判断が分かれている。ほとんどが韓国側の情報が正確だったことが確認され、日本ではこの空白を埋めるためにも韓米日3カ国軍事協力などを強化しなければならないという声が持続的に上がっている。

 韓国合同参謀本部は5日、北朝鮮が午前9時8分頃から約35分間、平壌順安(ピョンヤン・スナン)など4地域から短距離弾道ミサイル(SRBM)8発を発射したと発表した。 しかし、日本防衛省は同日、「北朝鮮が弾道ミサイルを少なくとも6発発射した」と発表した。韓日軍当局間の発表に「2発」も差があったわけだ。ただし、防衛省は「6発以外にもミサイルを発射した可能性がある」と含みを持たせた。

 日本は人工衛星や陸上の探知レーダー、海上のイージス艦など様々な手段を通じて北朝鮮の弾道ミサイル発射を把握し、軌道を追跡する。しかし、地球が丸いため地平線と水平線越しの北朝鮮側で行われたミサイルの初期の動きは正確に把握できない。一種の「死角地帯」ができるわけだ。日本が北朝鮮のミサイルを正確に追跡し、迎撃するためには、北朝鮮について韓国と在韓米軍が探知した情報をリアルタイムで提供してもらい、自国の資料と総合して使用するしかない。

 特に2019年5月以降、北朝鮮が正常軌道を描かない様々な「変則軌道」のミサイルを発射しはじめ、韓日、韓米日協力の必要性がますます高まっている。さらに北朝鮮は、今年に入って長距離・短距離ミサイルの「連続発射」、複数の場所で「同時発射」など、いっそう進化した攻撃能力を誇示している。読売新聞は「飽和攻撃は一斉発射で迎撃を難しくする」と指摘した。

 そのためか、今年に入って韓日間の情報の差が目立ってきている。先月25日にも韓国合同参謀本部は、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)と短距離弾道ミサイルを3発発射したと発表したが、日本は「少なくとも2発」と明らかにした。ミサイルの個数を間違えるだけでなく、正確な軌道も把握できていないことを示した。防衛省は先月11日、合同参謀本部と同じく北朝鮮が弾道ミサイルを3発発射したと発表したが、飛行距離に関して「通常の弾道軌道だとすれば、約350キロメートル程度飛翔し、落下したのは日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定される」と説明した。北朝鮮の弾道が変則的な動きを見せ、終末段階の軌道追跡が行われなかったことを事実上認めたのだ。韓米日3カ国の国防長官は、今月10~12日にシンガポールで開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)を機に会談し、この問題について話し合うものとみられる。

 それと同時に、独自の防衛力強化に対する声も高まっている。岸信夫防衛相は5日、記者団に「あらゆる状況に備え、いわゆる『反撃能力』(敵地攻撃能力)も含めて、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に努めていく」と述べた。自民党は攻撃対象に基地だけでなく「指揮統制」機能も含めるべきだと政府に提言した状態だ。日本が平壌と北京の主要施設を直接打撃できる能力を備えるという意味だ。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1045866.html韓国語原文入力::2022-06-06 23:41
訳H.J

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