米国が25日午前0時(現地時間)に満了するロシア国債に対する返済猶予措置を延長しないことを決めたことで、ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まった。
25日のAP通信などの報道によると、米財務省は、ロシア政府が米国の銀行を通じて国債の元利金を返す資格を更新する計画はないと発表した。ロシアが投資家に債務を返済する道を閉ざすこの措置により、ロシアはデフォルトが避けられなくなった。
ロシアが2月24日にウクライナに侵攻した後、米国はロシア政府が米国の主要銀行などの金融機関と取引きすることを禁止したが、25日までは一部に猶予期間を設け、米国の債権者がロシアから国債の元金などを受け取れるようにしていた。この猶予期間は5月25日午前0時に満了する。ロシアは債務履行のためにJPモルガンとシティグループを利用してきた。この道が閉ざされたことで、ロシアは国際投資家に債務を返済する経路を失うことになった。
バイデン政権はこれまでにも、満了期間を延長する考えはないというシグナルを国際社会に対して発してきた。先週ドイツで開かれた主要7カ国(G7)財務相会議の記者会見で、米国のジャネット・イエレン財務長官は「猶予期間は秩序ある転換を行う期間を提供するとともに、投資家が証券を売れるようにするために設けたもの。(しかし)時間は限られている」と述べた。アルゼンチンの債務危機訴訟などで弁護を務めた国家債務専門の弁護士ジェイ・オスランダー氏は、ロシアに対する債権を持つ大半の機関投資家は、満了日が迫っていることを知り、彼らの債権をほとんど売ったはずだと分析した。
米国政府が返済猶予措置を延長する考えがないことを改めて正式に明らかにしたことで、ロシアは数カ月以内のデフォルトが避けられなくなった。ロシアの債務を補償する保険契約には、数週間以内に債務不履行に陥る可能性は80%と書かれており、S&Pやムーディーズなどの格付け機関は、ロシアに対する債権をジャンクボンド(危険性が非常に高い債権)の領域に分類した。
ロシア財務省はこの状況を予見しており、今月中に満期を迎える予定だった2つの債務の元利金を金曜日に前払いした。ロシアが支払うべき次の債務の満期は6月23日。30日間の猶予期間があるこの債務の満期を考慮すれば、ロシアは7月末ごろに債務不履行を宣言することになるとの見通しをAP通信は示した。