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北朝鮮、中国から医薬品を受け取りロシアとも協議…韓米の提案には反応せず

登録:2022-05-19 06:26 修正:2022-05-19 07:52
16日中に瀋陽に輸送機3台、医薬品輸送 
中国、医療スタッフ派遣については「性急な予測」 
ロシア外務省とも協議…韓米には反応せず
朝鮮中央テレビが今月18日報道した平壌の未来科学者通りのバス停の様子。立ち入り禁止の表示がついている/朝鮮中央テレビ・聯合ニュース

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大で国家非常事態に陥った北朝鮮が、中国に航空機を送って医薬品を運搬し、ロシアとも協力案を協議している。だが、韓米の支援提案に対しては反応を示していない。

 18日、複数の対北朝鮮消息筋によると、北朝鮮の国営航空会社「高麗航空」の航空機3台が16日午前、中国遼寧省瀋陽の桃源空港に到着し、中国の医薬品を積んで同日午後、北朝鮮に戻った。2020年1月に新型コロナへの防疫対策として国境を閉鎖した後、北朝鮮が航空機を外国に送ったのは今回が初めて。

 今回、中国に送られた航空機は貨物50トンを積める多目的大型輸送機のロシア製IL(イリューシン)76で、北朝鮮で最も規模の大きい輸送機だという。同機は2018~2019年に朝米首脳会談が開かれたシンガポールとハノイにも登場した。消息筋によると、航空機で運ばれたのはすべて医薬品で、中国側のスタッフは搭乗していないという。医薬品の中にワクチンが含まれているかどうかは確認されていない。

 本紙の取材に応じたある消息筋は、「中国が今週中に医療スタッフを北朝鮮に派遣する可能性がある」という一部報道について、「性急な予測だと思う」と述べた。しかし、北朝鮮の新型コロナの感染拡大状況が非常に深刻であり、医薬品も不足しているため、追加の輸送は避けられないと予測した。

 北朝鮮はロシアとも協力案について協議している。ロシア外務省は17日(現地時間)、イゴール・モルグロフ外務次官が北朝鮮のシン・ホンチョル駐ロシア大使と面会したとし、「新型コロナの感染拡大防止のための朝ロ協力の見通しなど、両国関係の懸案が話し合われた」と明らかにした。これと関連して昨年7月、国情院傘下の国家安保戦略研究院は記者懇談会で「北朝鮮が中国産ワクチンは(効能に対する)不信感から導入をためらう一方、ロシアのワクチンについては肯定的に評価しながらも、無償支援を要求している」と明らかにした。

北朝鮮の朝鮮中央テレビが18日報道した今月15日18時から16日18時までの新型コロナウイルス感染症の発熱者の現況/朝鮮中央テレビ・聯合ニュース//ハンギョレ新聞社

 しかし、北朝鮮は韓米の防疫支援提案に対しては一週間近く沈黙を守っている。国家安保室のキム・テヒョ1次長は18日午後、龍山庁舎のブリーフィングで、記者団に「北朝鮮から、新型コロナや保健に関する我々の協力に応じるという返信はなかった。米国も北朝鮮に(支援の)意向を打診したが、反応がないと聞いた」と述べた。ネッド・プライス国務省報道官は17日、記者会見で「北朝鮮が、必要なワクチン支援を拒否しながらも、北朝鮮住民の人道的苦境の緩和と何の関係もない弾道ミサイルと核兵器に莫大なお金を投じ続けているのは、また別の大きなアイロニーであるというか、悲劇ともいうべきかもしれない」と述べた。しかし、「医薬品を含め、北朝鮮住民に対する人道支援が提供されるのを見たい」とし、米国は北朝鮮へのワクチン支援を支持する立場を維持した。

 一方、世界保健機関(WHO)は徹底した封鎖から2年で新型コロナの感染拡大が続いている北朝鮮で、新しい変異が出現する可能性が高いと警告した。WHOのマイク・ライアン緊急対応チーム長は17日、記者会見で北朝鮮での感染拡大について、「現在活用できる道具を使っていないならば、確実に懸念すべきだ」とし、「WHOはウイルスの拡散の勢いを遮断できないところではいつも新しい変異が出現する可能性があると、何度も警告してきた」と述べた。北朝鮮の官営メディア「朝鮮中央通信」は、17日午後6時までに新型コロナで死亡した人たちは62人、累積感染者数は171万5950人だと報じた。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員、シン・ギソプ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1043378.html韓国語原文入力:2022-05-19 02:30
訳H.J

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