ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、第2次世界大戦戦勝記念日の9日に行った演説で、ウクライナ侵攻はロシアの安保のために避けられない選択だったと述べた。
ロイター通信など海外メディアによると、プーチン大統領はこの日、モスクワの赤の広場で行った約10分間の演説で、「我々は、(ウクライナに)北大西洋条約機構(NATO)国家の最新兵器が定期的に供給されるのを見た」とし、「ロシアは(西側の)攻勢に対する先制対応をした。これは不可避で時宜に適っており、唯一の正しい決定だった」と主張した。プーチン大統領は2月24日、ウクライナに侵攻した際に「ウクライナの非ナチ化」を大儀名分に掲げたが、ソ連がナチス・ドイツに勝利を収めたことを記念する演説でもこのような態度が繰り返されたのだ。「すべてが親ナチとの衝突を指していた。米国と下位パートナーの支援を受けるウクライナ右翼組織と(の衝突)は避けられなかった」と述べた。プーチン大統領は戦勝記念日を翌日に控えた8日に発表したメッセージでも「こんにちの我々の義務は、多くの国の人々に途方もない苦痛を与えたナチズムの復活を防ぐことだ」と主張した。
この日の赤の広場では、赤旗を掲げた兵士が列伍を整えて行進し、核兵器を搭載できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ヤルス」と「イスカンデル」が姿を現した。軍事パレードはモスクワの他にも、極東のサハリンを含め20以上の地域で行われた。ロシアは戦勝記念日の行事を毎年盛大に行ってきており、今年の内容も例年と大きく変わらなかった。ただ、プーチン大統領がこの日ウクライナ侵攻に対して「戦争」と宣言するなどの重大発表がありうるという観測があったため、注目を集めていたが、演説の中に特別な内容はなかった。
主要7カ国(G7)の首脳らは同日、「(第2次世界大戦終戦から)77年が経ち、プーチン大統領と彼の政権は主権国に対する正当でない侵攻に乗り出した」とし、「彼の行動はロシアとロシア人の歴史的犠牲を辱める」と、プーチン政権を非難する共同声明を出した。同会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も出席した。
「敗戦国」であるドイツの態度からも、戦勝記念日がロシアにとって祝賀ではなく非難を受ける日になったということがはっきりと明らかになった。かつては、モスクワで開かれる戦勝記念日の行事には、ドイツ首相をはじめ多くの国から指導者や祝賀使節団が参加した。しかし、ドイツのオラフ・ショルツ首相は今回の戦勝記念日のテレビ演説で「プーチンは戦争で勝つことはできず、ウクライナが勝利するだろう」とし「77年前のように自由と安保が勝利する」と述べた。
西欧の指導者たちはウクライナを訪れて激励し、勝利を願った。ジョー・バイデン米大統領夫人のジル・バイデン氏はウクライナの避難民に会い、ゼレンスキー大統領夫人のオレナ・ゼレンスカ氏にも会った。カナダのジャスティン・トルドー首相とドイツ連邦議会のベーベル・バス議長はキーウ(キエフ)でゼレンスキー大統領と会合した。
ゼレンスキー大統領も8日の演説で、「第2次世界大戦から数十年が経った今、再び闇がウクライナにやってきた。再び悪魔が帰ってきた。異なるユニフォームを着て異なるスローガンを掲げているが、目的は同じだった。血のナチズムがウクライナで再建され、それに対する熱狂的な反復が現れている」とロシアを非難した。
チョ・ギウォン、キム・ミヒャン記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員