ロシア軍がウクライナ東南部の掌握に集中しているさなかの3日(現地時間)、軍の補給路の役目を果たしている中部と西部地域の各所に集中的にミサイル攻撃を行った。9日に迎えるロシアの第2次世界大戦の戦勝記念日を機に、ロシア軍の作戦が大きく変わる可能性が提起されるなか、西側が支援する兵器の輸送を遮断するための動きとみられる。
しばらくロシア軍の攻撃をさほど受けていなかった西部と中部地域の都市がこの日、相次いでミサイル攻撃を受けたと、米国CNN放送が報じた。ウクライナ内務省は、ロシア軍が中西部の内陸地域ヴィーンヌィツャに2発のミサイル攻撃を加えたと明らかにした。アントン・ゲラシチェンコ内務相顧問は、これとは別に、南部地域で首都キーウ(キエフ)に発射された巡航ミサイル1発をウクライナ空軍が撃墜したと主張した。中部地域のキロヴォフラード州のドリンスカもミサイル攻撃を受けた。CNNが現地市当局者の話を引用して報じた。
また、この日夕方までに、中部と西部地域の鉄道施設6カ所が攻撃を受けたと、ウクライナ鉄道庁が発表した。ウクライナ最西部に位置するザカルパッチャ州では、ロシア軍が山岳地域にミサイルを撃ち、被害状況を把握していると、現地の軍政責任者ビクトル・ミキタ氏が明らかにした。
ポーランドと国境を接する西部の主要都市リビウでは、ロシア軍のミサイル攻撃で変電所3カ所が破壊され、一部地域への電力供給が途絶えたと、ロイター通信が報じた。リビウも主要な交戦地域である東部・南部地域とは違い、これまで激しい攻撃は受けていなかった所だ。
ウクライナ軍が固く統制している南西部沿岸地域のオデーサ(オデッサ)に対する攻撃も強まり続けている。ロシア国防省はこの日、米国と欧州諸国が提供したドローンやミサイル、弾薬類を保管しているオデーサの軍施設を攻撃し破壊したと主張した。国防省は「高精度のオーニクス・ミサイルを用い、物流センターを攻撃した」と述べた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍がウクライナ軍の反撃の成功に怒り、特定の目標なしに手当たり次第に攻撃していると述べたが、CNNは、この日の攻撃は西側が支援した兵器を主要な交戦地域に輸送することを防ぐためのものだとみられると指摘した。
主要な交戦地域である東部ドネツク地域に対するロシア軍の攻撃も続いた。ドネツク州のパブロ・キリレンコ知事は、アウディーイウカにある石炭加工工場が攻撃を受け、10人が亡くなるなど、この日ドネツクで合計21人の民間人が死亡し、27人が負傷したと明らかにした。キリレンコ知事はSNSを通じて、これまでにマリウポリを除くドネツク地域において、戦争で亡くなった民間人は合計315人、負傷者は942人だと伝えた。
民間人数百人が閉じ込められていることが分かっているアゾフスタル製鉄所からザポリージャ地域に脱出した民間人は156人だと、ゼレンスキー大統領が確認した。これらの人々が脱出した後、ロシアが製鉄所に対する攻撃を再開し、民間人の救助作業が中断されるなか、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、民間人救出のための一時休戦を再び求めた。
一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はこの日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領との電話会談で、「ドンバス地域を保護するための特殊作戦」が進んでいるとし、西側のウクライナに対する兵器支援の中断を要求したと、「RIAノーボスチ」通信などが報じた。両首脳の電話会談は約5週間ぶりに再開された。