ロシアが9日、「第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日」(勝利の日)を迎え、ウクライナ戦争に対してどのような立場を表明するかをめぐり、見通しが分かれている。一部では勝利宣言後、軍事作戦を中止するだろうという期待を示しているが、本格的に戦争を宣言し、戦争拡大の道を選ぶだろうという懸念の声もある。
米国防総省の当局者は2日の記者会見で、ウクライナ戦争を展開するロシアの努力が「貧血」状態にあるとし、「彼らは勝利を宣言して軍隊を撤退させ、ウクライナが再び(ロシア軍が撤退した地域を)取り戻すことになるだろう」と予測した。さらに、2月末の開戦以来、ロシア軍を苦しめてきた様々な問題が依然として解決していないとし、「ずさんな指揮と統制、士気の低下、期待に及ばない補給などでロシア軍が苦しい状況に置かれている」と指摘した。さらに、現在主戦場であるウクライナ東部のドンバス地域における地上戦で、ロシア軍が「非常に慎重かつ消極的な」姿を見せているとし、すでに枯渇した戦力にさらなる死傷者が出るのを防ぐため、必死になっていると分析した。
ローマ教皇フランシスコも、ロシアが戦勝記念日に終戦計画を立てているという話を、ウラジーミル・プーチン大統領と親交の深いハンガリーのオルバン・ビクトル首相から聞いたと伝えた。教皇は最近、イタリア紙「コリエレ・デラ・セラ」とのインタビューで、「オルバン首相に会った時、彼は私に『ロシアが5月9日にすべてを終わらせる計画を立てている』と語った」とし、「そうなることを祈っている」と述べた。ただし、米国務省のネッド・プライス報道官は2日、ロシアが宣伝目的で戦勝記念日を「利用するためにあらゆることを試みるだろう」としながらも、「9日までにモスクワからより多くのことを聞けるだろう」と述べ、慎重な態度を示した。
このような予測を裏付けるのは、ロシアが今回の侵攻によって占領した地域を合併するための住民投票を5月中旬頃に向け準備しているとみられる様々な情況だ。米国務省のマイケル・カーペンター欧州安保協力機構(OSCE)大使は2日、「直近の報告によると、ロシアが(ドンバス地域にある親ロシア武装勢力が建てた自称『独立国』の)『ドネツク人民共和国』(DPR)と『ルハンスク人民共和国』(LPR)を合併しようとしている。ロシアは5月中旬に住民投票を計画している」と述べた。
一方、正反対の予測もある。ロシアに対する西欧の強硬な立場を先導している英国のベン・ウォラス国防相は、プーチン大統領がウクライナに対し、9日に正式に戦争を宣布する可能性があると見通した。ウォラス国防相は先月28日、「LBC」ラジオとのインタビューで、「プーチン大統領は恐らく勝利記念日に『我々は今、世界のナチスと戦争中であり、より多くのロシア人民を動員する必要がある』とし、正式に戦争を宣言するだろう」と述べた。プーチン大統領は今年2月24日に始まったウクライナ侵攻について、ドンバス地域の親ロ地域住民を保護するための「特別軍事作戦」という用語を使っている。ウォラス国防相の発言は、プーチン大統領が戦勝記念日を機にウクライナに正式な「宣戦布告」を行い、軍事行動の幅を広げる可能性が高いという意味だ。この場合、戦争は終わりの見えない泥沼に陥ることになる。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、戦勝記念日とウクライナ戦争の関連性について結びつけることについて否定的な立場を示した。彼は1日、イタリアの放送「メディアセット」とのインタビューで「我が軍が『勝利の日』を含め、特定の日に合わせて軍事行動を人為的に調整することはない」と述べた。