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ロシアが起こした戦争、徴集逃れ国境越えるウクライナ人たち

登録:2022-04-12 04:27 修正:2022-04-12 08:55
国境警備が不十分なモルドバ方面に多く集まる 
「逃げたことは事実」…一部は罪悪感を吐露
ウクライナ軍が10日、破壊されたロシア軍の戦車から取り外した機関銃を持っている=モティジン/ロイター・聯合ニュース

 20代のウクライナ男性のボバ・クレーバ氏は、キーウ(キエフ)で成功したファッション・フォトグラファーだった。彼は、ロシアが2月24日にウクライナを侵略した直後、ひそかに戦争を逃れロンドンに脱出した。彼は「暴力は私には合わない」と述べた。

 しかし、友人にそうした事実を伝えると、窮地に追い込まれた。友人が「信義を忘れて」その事実を公開すると、ウクライナ人の間から非難の洪水があふれたのだ。ソーシャルメディア上には「おまえはすでに死んだ命」「地球の最後までおまえを捜しだす」など脅迫する発言もあふれた。

 ロシアがウクライナを侵攻すると、祖国を守るために志願し銃を取る人々もいるが、徴集を避け外国に逃げる人々もいる。「ニューヨーク・タイムズ」は10日(現地時間)、海外に逃れた徴集年齢のウクライナ人男性たちは数千人に達すると報じた。ウクライナはロシアの侵攻直後、18歳~60歳の自国の男性の出国を禁止した。ところが、ハンガリーやポーランドなどのウクライナの周辺国には、彼らの不法越境を助ける犯罪組織が増えている。特に、ウクライナ西部地域と1200キロメートルほどの国境を接しているモルドバには、国境警備が不十分なため、徴集から逃れようとするウクライナ人男性たちが押し寄せている。

 モルドバ当局者は「ウクライナで戦争が起きると、数日も経たないうちに、テレグラムなどに徴集を逃れようとするウクライナ人男性たちを狙った車両提供などの広告が投稿された」と語った。不法越境は概して、密輸組織とウクライナ人男性が真夜中に警戒が不十分な国境近くの約束の場所で会う形式で進められる。モルドバ当局者は「1件あたり最大1万5000ドル(約188万円)まで費用を払うと認識している」と述べた。

 モルドバ国境当局は、これまでに不法越境を助けた20の密輸組織を摘発し、ウクライナ人男性1091人を逮捕した。不法越境したウクライナ人男性たちには、2つの選択肢が提供される。帰国を望むのであれば送還し、難民申請をするのであれば、これも受け入れる。これまでに100人未満が帰国を選択し、残りの1000人程度が難民申請をしてモルドバに残った。モルドバに合法的に入ってきて難民申請をしたウクライナ人男性も2000人ほどになると、モルドバが明らかにした。

 ウクライナ人男性のウォロディミル・ダヌリフ氏は、そのようにしてモルドバに難民申請をして留まる人のうちの一人だ。彼は「ロシア人と結婚した兄弟がいて、2人の甥がロシア軍に入隊し、ウクライナに来ている」とし、「私がどうして、ロシア軍を銃で狙うことができるのだろうか」と述べた。

 しかし、このように祖国に背いた人々のなかには、他人には分からない罪悪感と恥を吐露する人々がいる。姓を明かさない別のウォロディミル氏は、ウクライナでコンピュータープログラマーとして働き、戦争が起きるとポーランドに逃れた。彼は「私はもう46歳で、視力が良くなく眼鏡もかけており、戦闘にはつかえない」としたうえで、「しかし、私が戦争から逃げたことは事実で、それは恥ずかしいことだ。罪を犯したことには違いない」と述べた。

パク・ピョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1038321.html韓国語原文入力:2022-04-11 11:01
訳M.S

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