本文に移動

ポーランド国防次官インタビュー「プーチン、21世紀のヒトラーになりうる」

登録:2022-03-22 10:06 修正:2022-03-22 12:50
ポーランドのマルチン・オチエパ国防次官 
「ロシア、ポーランドやバルト三国を侵略しないという保障はない」 
武力による国境変更を座視すれば、朝鮮半島や日本も緊張が高まる
ポーランドのマルチン・オチエパ国防次官が17日(現地時間)午後、ワルシャワの執務室で本紙のインタビューに応じている=ワルシャワ/キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「ポーランドはナチスドイツとソ連という二つの帝国が衝突するという歴史的な経験をした。ウラジーミル・プーチンは21世紀のヒトラーになりうる。歴史が教えてくれる」

 先月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻を見つめるポーランドの立場は、他の欧州諸国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国とはかなり異なる。ポーランドはウクライナやベラルーシと国境を接するNATOの最前線の国だ。そのためか、ウクライナを守れなければ自分たちが「次の被害者」になりかねないという強い実存的危機感を感じていた。本紙は17日(現地時間)午後、首都ワルシャワの国防次官執務室でマルチン・オチエパ国防次官と会い、今回の戦争を見るポーランド人の本心を覗いた。これを通じて確認できたのは、ロシアという巨大な安保脅威と肌を突き合わせて生きてきたポーランド人たちの、相手に対する根深い不信だった。

-先月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻した。軍事的な動きを事前に捉えていたか。

 「ウクライナ周辺で行われたロシアの軍事活動を、侵攻数カ月前から綿密に観察してきた。昨年春からロシアは過去よりはるかに大きい軍事演習(20万の兵力を動員したロシア・ベラルーシの大規模合同軍事演習)を実施していた。新しい演習ではないが、以前より規模が大きく、不安を感じた」

-一部ではNATOの絶え間ない東方拡大がロシアの軍事介入の原因だと主張している。

 「同意しない。実際、我々は『ロシア』ではなく『プーチン』について話している。独裁者を相手にした歴史的経験を思い出さねばならない。ヒトラーが1939年にポーランド、チェコスロバキアを侵略するまで、平和を守るために長い間ヒトラーを相手にした。独裁者の空腹を満たせるものは何もない。それならば『レッドライン』はどこにあるのか。ジョージアやウクライナでなかったらどこにあるのか。ロシアがポーランド、バルト三国を侵略しないという保障はあるのか。国境を変えようと武力を使用する状況を受け入れるのか。ドイツ・フランス・イタリアなどは我々を『ロシアを嫌悪する国』とみなしている。だが、ロシアが何をしたのか歴史を見てほしい。2008年にはジョージアで、2014年にはクリミア半島・ドンバスだった」

-戦争が始まって以来、ポーランドは非常に積極的にウクライナを支援している。特に旧ソ連製のミグ-29戦闘機28機を、ドイツの米軍基地を経由してウクライナに提供すると述べた。米国が難色を示して実行されなかったが、なぜそこまでするのか。

 「ポーランドは(ミグ戦闘機など)『攻撃用兵器』を提供してでもNATOがウクライナを支援すべきだと考えている。ただ、これは一国だけの任務にはなりえない。ロシアがNATO加盟国を攻撃する口実を提供しかねないからだ。ポーランド政府の単独行動もやはりないだろう」

-ポーランドはNATOの主要加盟国の一つだ。NATOの長期戦略が気になる。NATOは拡大すべきか。

 「そうだ。我々は我々の価値を拡散させたいという野心がある。自由世界を作ろうという野心だ。欧州だけでなく世界140カ国がロシアを侵略者と表現し、ウクライナ侵攻を非難している。これはすなわち、我々が追求する価値がかなり成功して広がっていることを意味する」

-ロシアがポーランド国境からわずか25キロメートルのウクライナ西部の軍事施設に爆撃を加えた。35人が死亡した。ロシアはどのようなメッセージを送ったのだろうか。

 「ロシアは我々を脅かし、恐怖を与えようとしている。しかし失敗するだろう。もし彼らがわが国の国境、つまりNATO国境付近に接近するなら、そしてさらにはわが国の都市や領土を攻撃するなら、我々は対応するだろう」

-ロシアがウクライナを占領したらポーランド領土まで侵攻してくる可能性があると思うか。

 「我々がロシアの侵略を放っておくなら、一国が自分たちの政治的目標を追求するための『道具』として戦争を悪用する可能性がある。ロシアが国境線を変えるためにウクライナを侵略するのを許すなら、その次は他の国々がロシアを真似しかねない」

-ロシアの核兵器使用の可能性は?

 「そのシナリオは信じない。核は勝者なき戦争をつくる兵器なので、使用しないだろう。もしロシアが核兵器を使用するなら、それはNATOも核兵器を使用するということを意味する」

-ロシアはウクライナがスウェーデンやオーストリアのように「中立国化」する案を提示している。

 「ロシアがなぜウクライナの未来の運命を決定しようとするのか理解できない。これはウクライナが決める問題だ。スウェーデンやオーストリアも今の現実を見ながら、NATO加盟を改めて考慮している。中立というのは非常に魅力的な修辞にすぎない」

-ポーランドは中立国監督委員会として朝鮮半島問題をよく理解している。北朝鮮は現在の状況を見て、どんなことを考えるだろうか。

 「大きな国が武力で国境線を変えようとするのを受け入れれば、我々はまた別の戦争に向き合うことになる。他の独裁者もより攻撃的に行動するだろう。おそらく朝鮮半島や日本の近隣地域でも緊張が発生しうる。これを防ぐためにも、我々は自由世界の一員として、団結と決意を示さなければならない」

ワルシャワ/ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1035723.html韓国語原文入力:2022-03-22 08:51
訳C.M

関連記事