本文に移動

遺伝子操作した豚の心臓、初めて人体に移植…「回復中3日目」

登録:2022-01-11 20:13 修正:2022-01-12 07:34
米国メリーランド大、時限付き患者に移植 
「動物臓器、人体移植時代が来るか」期待
米国メリーランド大学医療センターの医師たちが7日(現地時間)、豚の心臓を人体に移植している=ボルティモア/ロイター・聯合ニュース

 人体の拒絶反応を減らすために遺伝子を操作した豚の心臓を米国で移植した患者が回復期間にあり、3日経過した。この手術に成功との結論が出れば、慢性的な移植用臓器不足問題の解決に多いに役立つとみられる。

 米国メリーランド大学医療センターは、時限付き判定を受けた心臓疾患の患者であるデービッド・ベネットさん(57)が7日に8時間にわたる手術を通じて人類史上初めて豚の心臓を移植し、10日現在まで自力で呼吸し回復していると明らかにした。この手術が最終的に成功との結論が出れば、動物の臓器を人体に移植するという数十年間の努力が重要な実を結ぶことになる。また、慢性的な移植用臓器不足問題の解決にも大きな進展が予想される。ただしAP通信は、この手術が成功か否かを確認するにはさらに数週間にわたり経過を見守らなければならないと明らかにした。

 これまでになされた動物臓器の移植の試みは、人体の拒絶反応によりほとんどが失敗した。そのため医療スタッフは、手術に使われた豚の遺伝子を操作して人体が拒絶反応を示す要因を事前に除去した。

 手術を執刀したバートリー・グリフィス博士は、「患者の状態がとても良く、今日は微笑も見せた。この患者から毎日多くのことが分かってきている」と話した。グリフィス博士のチームは、今回の手術に先立って過去5年間かけて豚の心臓を猿に移植する実験を50回ほど試みた。ニューヨーク大学で豚の心臓移植をリードしたロバート・モンゴメリー博士も「今回の手術は真に注目に値する進展」とし「私も心臓移植を受けた者として戦慄を覚えた」と話した。彼は、今回の手術が多くの患者に希望を与えるだろうと付け加えた。

 今回の移植手術は、米国食品医薬品局(FDA)の例外的な緊急手術許容を通じて実施された。食品医薬品局は、他に選択肢がなく生命が脅かされている患者に対して実験的な医薬品使用を許容する「同情的使用」条項を今回の手術に適用した。ベネットさんは、手術を受ける一日前に「死ぬか豚の心臓を移植するしか方法がない。成功の可能性は分からないが、これが私の最後の選択」との意向を明らかにしたと医療スタッフが伝えた。

 米国の統計によれば、現在臓器提供を待つ患者は11万人に達し、毎年6千人以上が臓器移植を受けられずに死亡しているとAFP通信が伝えた。ニューヨークタイムズも「病んだ臓器を持つ数十万人の患者に希望をあたえる画期的なこと」と評した。

 専門家たちは情報共有の重要性を強調した。実験的医療行為に対する倫理と政策を研究するキャロン・マシュク博士は、動物臓器の移植を拡大するのに先立って、今回の移植を通じて確保した資料を共有することが非常に重要だと指摘した。同博士は「情報を確保することもないまま人体に対する動物臓器移植を急ぐことは薦められない」と話した。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1026829.html韓国語原文入力:2022-01-11 13:45
訳J.S

関連記事