米国政府が主な石油消費国に戦略備蓄油の放出を要請し、韓国政府もこれを検討していることが分かった。
韓国政府関係者は18日、米国政府が最近、外交部を通じて戦略備蓄油の放出を要請し、産業通商資源部などの関係省庁が受け入れるかどうかを検討していると明らかにした。韓国政府は国内の状況とともに、米国から要請を受けた他国の動向を見守りながら結論を下す方針だという。
ロイター通信は同日付で、バイデン政権が中国、日本、インド、韓国など主な石油消費国と備蓄油の放出問題を協議してきたと報じた。ある消息筋は、日本は前向きな反応を示したが、他の国々の反応はまだ確認されていないと述べた。これに先立ち、サウスチャイナ・モーニング・ポストは16日に行われたオンライン首脳会談で、バイデン大統領が中国の習近平国家主席と両国が共に戦略備蓄油を放出する問題を話し合ったと報道した。
ホワイトハウスは「世界のエネルギー供給と価格が経済回復を危険に陥れないよう、エネルギー消費国と対話している」と明らかにした。備蓄油の放出に向けた協議に参加した米国側の関係者は、石油市場に影響を及ぼすためには米国だけで2千万~3千万バレルを供給しなければならないと推算した。米国などは1970年代にアラブ諸国が石油輸出を制限したことを受け、非常事態に備えて「戦略備蓄油」制度を導入した。韓国石油公社と日本資源エネルギー庁によると、韓国の備蓄量は9700万バレル、日本は4億9千万バレルだ。
バイデン政権が異例の動きを見せているのは、ガソリン価格の高騰などで先月の消費者物価指数の上昇率(6.2%)が31年ぶりに最高値を記録したためだ。食品とエネルギー価格が大幅に上昇し、バイデン大統領の支持率が就任後最低の41%まで急落した。自動車使用の多い米国人はガソリン価格に敏感だが、1ガロン(約3.79リットル)当たりの平均価格が3.41ドルで、前年比60%以上も急騰した。国際市場の原油価格は先月初め、7年ぶりに最高値を記録した。
サウジアラビアをはじめ、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの産油国は、米国などの増産要求に1日40万バレルを増産することにした。バイデン大統領は追加で増産を繰り返し要求してきたが、OPECプラスは12月に供給過剰が発生すると主張し、追加増産を拒否している。ロイター通信は備蓄油の放出をめぐる協議が「主な石油消費国と共にOPECに行動の変化を求める象徴的意味」で行われていると、消息筋を引用して報じた。
バイデン大統領は、大手石油会社にも矛先を向けた。彼は同日、連邦取引委員会に「反消費者的行為の証拠が増えている」とし、米石油会社エクソン・モービルとシェブロンの違法行為がガソリン価格を上昇させている可能性について調査するよう求めた。また「莫大な利益を上げている両社が数十億ドル規模の自社株購入と配当金の支給を計画している」とし、「石油・ガス会社のコストが減っているにもかかわらず、ガソリン価格が高止まりしている」と述べた。
最近、原油価格が急騰したのは、コロナ禍で委縮していた米国などの景気が急速に回復しているためだ。化石エネルギーの使用の低減を目指す流れによって、石油分野への投資が減ったという見方もある。また、昨年原油価格が暴落した時に投資が激減したうえ、米金融機関各社が損失を最小化するために石油会社各社に債務返済を催促していることも、増産のペースを上げられない要因とみられている。