中国が台湾領東沙(プラタス)諸島の占領など、軍事的行動に出る可能性が現在としては高くないという台湾情報当局の分析が示された。
「台湾中央通信」(CNA)などの5日付の報道によると、台湾の陳明通国家安保局長は前日、立法院の外交・国防委員会に出席し、「中国指導部で東沙諸島の攻撃に関する議論が行われたことは把握しているが、蔡英文総統の任期中に実行に移すことはないものとみている」と述べた。昨年1月に再選に成功した蔡総統の任期は2024年5月まで。
陳局長は「離島地域を攻撃して占領した後、台湾を交渉の場に引っ張り出すか、海上封鎖または持続的な砲撃などが予想可能な中国の挑発」だとしたうえで、「これも蔡総統の任期中に発生する可能性は低い」と述べた。さらに「台湾と中国間の緊張が過去に比べて非常に高くなったのは事実だが、まだ中国が軍事的行動に出るほどの水準には至っていないとみている」と付け加えた。
これに先立ち、米国外交・安全保障専門のシンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」は先月26日に発行した報告書「The Poison Frog Strategy(毒ガエル戦略)」で、「中国が東沙諸島を先制的に軍事占領する場合、全面戦争の危険を甘受しない限り、米国と台湾にとって中国軍を撤退させる方法は事実上ない」と指摘した。