日本で新型コロナウイルス感染症が急速に広がっていた昨年、働く女性の自殺が大きく増えたことが分かった。コロナ禍で雇用市場が不安定になり、非正規雇用の割合が高い女性が直撃を受けたためとみられる。
厚生労働省の「自殺対策白書」によると、昨年、働く女性1698人が自ら命を絶ち、過去5年間(2015-2019)の平均に比べて28%(375人)も増加した。昨年の日本全体の自殺者数(2万1081人)も1年前より912人増えた。世界的な金融危機に見舞われた2009年以降11年ぶりに増加に転じた。読売新聞は「非正規雇用の割合が多い女性が、新型コロナウイルス禍で失業や減収などの影響を受けたことが背景にある」と報じた。厚生労働省担当者も同紙に「非正規雇用は(緊急事態宣言による)営業自粛など、コロナ禍の影響を受けやすい」と指摘した。
総務省が発表する労働力調査によると、今年9月現在、女性の非正規雇用の割合は53.7%で、男性(21.3%)の2倍以上に達した。昨年2月から日本国内で新型コロナの感染拡大が続き、経済の悪化に伴って4月以降は雇用も減り始めた。非正規雇用の場合、月別に合計したところ昨年は898万人が減少し、このうち66%(594万人)が女性であることが集計で確認された。解雇が容易な非正規労働者として働いていた女性たちが「コロナショック」で失業に追い込まれたわけだ。
一人暮らしや生計を担う役割を果たしている場合、失業は直ちに生活の困難につながるが、コロナ禍では再就職も容易ではない。働く女性の自殺者数は昨年7月から12月にかけて集中的に増加した。非正規雇用が減少し始めてから2~3カ月が経った時期だ。