新型コロナウイルスのデルタ変異株が急速に拡散し、各国政府が防疫対策に追われ非常事態となっている。
BBCは、世界保健機関(WHO)がデルタ変異株が124の国で報告されたことを明らかにしたと報じた。WHOは、デルタ変異株が支配的な新型コロナウイルスとなり、数週間以内に世界で2億人以上が感染するおそれがあると見通した。
ニューヨーク・タイムズによると、米国では一時は4千人台まで減った新規感染者が、デルタ変異株の拡散により23日(現地時間)には8万2505人に再び急増したと集計された。週末の24日には、2万2472人に新規感染者が再び減ったが、今月初めにワクチン接種数の増加により一時は3~4千人まで減ったことに較べれば依然として高い数値だ。
新型コロナの再拡散により、マスク着用論議にも再び火が点いた。当初、疾病予防管理センター(CDC)は5月13日にワクチンを完全に接種した人はマスクを着けなくとも良いという指針を出したが、今後再びマスクを着用するよう指針を変えなければならなくなるのではないかということだ。
公衆衛生局士官部隊 (PHSCC)のジェローム・アダムス元隊長は、すでに人々がワクチン接種の有無にかかわらずマスクを外しているとして、疾病予防管理センターが新型コロナの拡散防止に米国人が再び参加するよう明確なメッセージを出す必要があると強調した。
ホワイトハウスも職員の中からブレイクスルー感染の事例が出てくると、ワクチン接種者でもマスクを着用するよう勧告する方案を検討中との報道が出てきている。ロサンゼルス・カウンティとミズーリ、セントルイスなどの一部の地方自治体は、マスクの着用を再び義務化している。
ワクチンの3回目の接種(ブースターショット)も検討されている。最近までブースターショットの必要性に否定的だったジョー・バイデン政権の保健担当官僚らの立場も変わってきていると、ニューヨーク・タイムズが伝えた。特に、65歳以上の高齢者や免疫脆弱者などがブースターショットの対象として議論されている。免疫脆弱者とは、がんや臓器移植の患者、エイズウイルス(HIV)感染者などで、米国の人口の2.7%程度と推算される。
フランスは24日、新規感染者が2万5624人で、5月5日以来の最多を記録し、イタリアは5140人、英国は3万1795人を記録した。これに伴い、ワクチン接種を証明する検診手帳の所持者だけが出入りできる公共場所を拡大するなどの対策を推進している。
中南米では、メキシコの新規感染者が24日に1万5823人、ブラジルが23日に10万8732人を記録した。アジアでは、ベトナムが24日に7968人が新たに感染し過去最多を記録し、ホーチミン市の封鎖を8月1日まで延長するなど防疫対策を強化した。