本文に移動

日本メディアがユン・ソクヨルの大統領選出馬にひときわ関心示す理由は

登録:2021-07-01 01:47 修正:2021-07-01 07:09
支持率1位を強調、人物を詳しく紹介 
ユン「韓日関係改善意欲」の側面から注目 
朝日「ユン前総長、金大中大統領を尊敬」 
読売「外交・安保は具体性なく弱点」
ユン・ソクヨル前検察総長が29日、ソウル瑞草区の梅軒尹奉吉義士記念館で、大統領選出馬記者会見を行っている/聯合ニュース

 日本の諸メディアは、ユン・ソクヨル前検察総長の大統領選出馬についての内容を大きく報じ、特に韓日関係の改善に意欲を示したことに注目している。

 日本最大の日刊紙である読売新聞は、ユン前総長が「来年3月の大統領選に出馬する意向を表明した」とし、30日付の2面と6面に記事を掲載した。同紙は、ユン前総長が韓日関係について述べた「回復が不可能なほど悪化した。歴史の真相は明確にしなければならないが、未来世代のためには実用的に協力するべきだ」との発言を紹介し、韓日の「関係改善に意欲を示した」と報じた。

 朝日新聞は、韓日関係についてユン前総長が「理念偏向ではなく現実主義に立脚すべきだ」と文政権を批判したと報じた。毎日新聞もユン前総長の出馬宣言を詳しく紹介し、韓日関係について「関係改善に前向きな姿勢を示した」と評価した。日本経済新聞はユン前総長が韓日関係について「改善に向けた意欲を示した」とし「文政権の対日政策も厳しく批判しており、外交政策が大統領選の争点になる可能性もある」と分析した。右翼傾向の産経新聞も韓日関係の部分を詳しく報じ、「関係回復を図っていく必要性にも言及した」と伝えた。

 ユン前総長は29日、ソウル瑞草区(ソチョグ)の梅軒 尹奉吉(ユン・ボンギル)記念館で行われた大統領選出馬記者会見で、文在寅(ムン・ジェイン)政権での韓日関係の悪化について「理念偏向的な竹槍歌を歌っているうちにここまで来た」と批判している。「竹槍歌」は、日本政府の一方的な半導体素材輸出規制措置で非常事態に陥った2019年7月に、チョ・グク元法務部長官が自身のフェイスブックにアップした歌だ。ユン前総長は「政府は政権末期になって収拾しようとしているが、うまくいっていないようだ」と現在の状況を診断した後に「韓日関係では、歴史は歴史として我々の後の世代が歴史を正確に記憶するために真相を明確にしなければならないという問題があるが、未来は我々の後の世代のために実用的に協力すべき関係だと思う」と述べた。

 そして、「この政権になってめちゃくちゃになった(日本軍)『慰安婦』問題、強制徴用問題、韓日の安保協力や経済・貿易問題、これらの懸案を全部まとめて一つのテーブルに載せて『グランドバーゲン』をするようなやり方で問題にアプローチすべき」と述べた。ユン前総長は明確に言及していないものの、日本が執拗に求めてきた安保協力分野で歩調を合わせる見返りとして、歴史問題などで多少の譲歩を引き出そうという構想だと解釈できる。しかし、日本政府がこれまで一貫して示してきた冷淡な姿勢を考えると、「グランドバーゲン」構想に対して直ちに好意的な反応を示すとは期待しにくい状況だ。日本は、強制動員被害者への賠償問題などの懸案で、まず韓国の方から納得できる譲歩案を示すべきとの考えを曲げていない。

 このことを意識したように読売新聞も、ユン前総長の韓日関係改善の意志に関心を示しつつも、「北朝鮮問題や、米国との対応など、外交や安保の重要課題について具体的な言及を避けた。日韓関係の改善に意欲を示した場面もあったが、これも文政権批判の延長線上と言える」と述べ、これがユン前総長の弱点だと指摘した。

 ユン前総長は29日、韓国政府が取るべき外交・安保政策について、「大韓民国は(世界に対して)文明国家の普遍的価値にもとづいているという明確な立場を示さなければならない」と述べた。また「国際社会は人権と法治、自由民主主義の価値を共有する国同士のみで核心先端技術と産業施設を共有する体制へと急変しつつある。外交・安保、経済、国内問題と国際関係は分離できない一つのものとなった」と述べた。米国のジョー・バイデン政権が進める世界的「サプライチェーン再編」の動きに言及しつつ、韓国は「自由民主主義の価値を共有する国」との協力を強化するとともに、中国などに対しても「普遍的価値にもとづいているという明確な立場」を示し、一線を引くべきだとの立場を明らかにしたわけだ。

 ユン前総長は、自らの立場を改めて確認するように「大韓民国がどのような国なのか、確固たるアイデンティティを示し、敵と友人、競争者と協力者すべてに予測可能性を与えるべき」と付け加えた。米国と中国の間で「戦略的均衡」を保つために苦心してきた文在寅政権とは異なり、自由民主主義的価値を共有する米日との安保協力を深めていく外交の方向性に重きを置いたものとみられる。この主張は韓国の保守主流の主張を事実上代弁するもので、彼の小学校の同窓で外交・安保アドバイザーを務めるキム・ソンハン元外交部第2次官の影響を受けたものと推定される。

 日本のメディアは韓日関係以外に、現政権との対立など、ユン前総長個人に対しても大きな関心を示した。

 読売新聞はユン前総長について「政治経験はないが、各種世論調査で次期大統領候補としてトップの支持を得ている」とし「(政府的)圧力に屈しない姿勢が国民の人気を集めた」と分析した。

 朝日新聞は「文在寅政権との激しい対立で注目を集めたユン氏は、野党勢力の中で世論の支持が最も高い」と紹介した。さらに、ユン前総長の知人たちの話を引用して「ユン氏は金大中(キム・デジュン)元大統領を二つの点から尊敬しているという」と報じた。金大中元大統領が民主化運動で大きな困難を受けたにもかかわらず、保守に報復をしなかったことと、1997年の通貨危機を逆手にデジタル社会を築いた手腕で、現在の新型コロナ危機の克服に通ずるという点を挙げたという。

キム・ソヨン、キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1001515.html韓国語原文入力:2021-06-30 11:39
訳D.K

関連記事