菅義偉政権発足後、初めて発行された「外交青書」で、日本政府は今年1月韓国裁判所の「慰安婦」被害への賠償判決について「断じて受け入れることはできない」と強い口調で主張した。独島が「日本固有の領土」という主張も再び繰り返された。
茂木敏充外相は27日、菅首相主宰で開かれた閣議で「外交青書」を報告した。「外交青書」は、外交状況や展望、国際情勢等に関する日本政府の認識を盛り込んだ一種の白書である。
2021年版「外交青書」(第64号)は、今年1月にソウル中央地裁が日本政府に日本軍「慰安婦」被害者への賠償を命じる判決を言い渡したことについて、「国際法及び日韓両国間の合意に明らかに反する」とし、「(強制動員問題などで)既に厳しい日韓関係を更に深刻化させるものであり、極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」と言及した。「慰安婦」判決は、今回新しく加えられた内容だ。日本が「竹島」と呼ぶ独島についても「(韓国が)竹島を不法占拠し続けている」とし、再び「日本固有の領土」という主張を展開した。
昨年3年ぶりに再び使用した「韓国は重要な隣国」という表現は今年も維持された。日本は、韓日関係の状況によって、首相の演説や外交青書などで韓国に対する表現を変えている。菅首相は昨年10月の国会演説では「韓国は非常に重要な隣国」と表現したものの、1月の「慰安婦」判決以降、「非常に」を除いて言及している。
北朝鮮問題については「北朝鮮による全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄に向け、国際社会が一致結束して、安保理決議を完全に履行することが重要である」と主張した。これは「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄)」を意味する。菅首相は16日、日米首脳会談後の共同記者会見で、「CVID」について直接言及した。また「米国や韓国と緊密に連携し、国際社会と協力しながら、朝鮮半島の非核化を目指していく」とし、菅首相が施政方針演説で「政権の最重要課題である拉致問題」と強調したことにも触れた。
米中対立が激化している中、日本が中国をけん制する表現を大幅に強化したことも注目される。中国の軍事的台頭を説明しながら「日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっている」と明示した。昨年の「地域・国際社会共通の憂慮事項」という表現より強い表現で危機感を表した。
中国と領土紛争中の尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で領海侵入を繰り返す中国海洋警察部隊の動きを取り上げ、「国際法違反」という表現を初めて用いた。昨年ほとんど扱われなかった新疆ウイグル人権弾圧についても「深刻に懸念する」と書いた。習近平中国国家主席の訪日についても「日中両政府はまずは新型コロナの収束に専念すべきであり、今は具体的な日程調整をする段階にはない」と記し、昨年の「再度調整する」に比べて内容が後退した。
今月16日、日米首脳会談と関連して「成果」を強調した内容が盛り込まれたが、最も注目を集めた台湾海峡の部分は今回抜けている。共同通信は「中国の反発を考慮した可能性がある」と報じた。日本は、台湾問題について言及することをかなり負担に思っているという。