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ウイグルの人権弾圧に相次ぐ制裁…「反中国戦線」の触媒になるか

登録:2021-03-24 06:48 修正:2021-03-24 07:32
欧州連合、中国に対する制裁を発表 
米国、英国、カナダなども制裁支持の共同声明 
中国、「偽り・虚偽」と批判…報復制裁で対抗 
王毅外交部長、「中国への内政干渉は時代遅れ」
中国を訪問したロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が今月23日、広西チワン族自治区の桂林で、王毅・中国外交担当国務委員兼外交部長と肘タッチで挨拶する写真をロシア外交部が公開した=桂林/EPA・聯合ニュース

 中国西部の新疆地域におけるウイグル族への人権弾圧を問題視し、欧州連合(EU)が22日(現地時間)、中国に制裁を加えたことに対し、中国が直ちに対抗措置を発表した。これを受け、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが対中国制裁に加わったことで、ウイグル族問題をめぐり西欧諸国が中国を包囲した格好となった。

 中国に対する西側諸国の同時多発的な制裁は、18~19日に米国アラスカのアンカレッジで開かれた米中外交トップ会談で、米中が激しく衝突した後に発表された。また、アントニー・ブリンケン米国務長官の22~25日の欧州訪問に合わせて行われたものだ。外交において人権と民主主義などの価値を掲げ、同盟を束ねて中国に圧力を加えようとするバイデン政権の政策方向と、英語圏の西側諸国の動きがぴったり合った格好だ。

 先に乗り出したのはEUだ。EUは同日、ウイグル族弾圧の責任を問い、中国官僚4人と関連部署1カ所を対象に旅行および経済制裁を加えた。制裁対象は、王君正・新疆生産建設兵団党委員会書記、陳明国・新疆公安局長、朱海侖・元新疆党委員会副書記、王明山・新疆政治法律委員会書記、そして新疆生産建設兵団公安局だ。

 EUが中国に制裁を加えたのは、1989年の市民の民主化デモを中国政府が武力で鎮圧した天安門事件で兵器禁輸措置を取って以来初めて。国際人権団体と国連人種差別撤廃委員会などは、中国当局がいわゆる「再教育」を口実にウイグル族など新疆地域の少数民族100万人以上を集団拘禁し、強制労働に動員するなど、人権を蹂躙していると批判してきた。

 米国も王君正氏と陳明国氏を制裁リストに加えると発表した。朱海侖氏と王明山氏はすでに米国の制裁対象リストに含まれている。ブリンケン長官は声明を発表し、「米国は深刻な人権弾圧と戦う国際的努力において強力なリーダーシップを行使することに専念している」と述べた。米国務省と財務省は声明で、「同じ考えを持つパートナーらと調整し、追加行動を取る」と中国に警告した。

 英国とカナダ、オーストラリア、ニュージーランドもEUや米国と共に共同声明を出し、「私たちは引き続き中国の人権違反についてスポットライトを当てていく。我々は団結し、新疆で苦しむ人々のための正義を求めていく」と明らかにした。

 共同声明でもわかるように、今回の対中国制裁は、西側諸国が意図的に団結し、新疆地域における人権弾圧という敏感な問題を浮き彫りにして中国を攻撃したものだ。ブリンケン米国務長官は15~18日に日本と韓国を歴訪した際も、新疆問題などを取り上げて中国を批判し、18日にアラスカでは楊潔チ・中国共産党外交担当政治局員の面前で、新疆をはじめとする人権問題に言及した。ブリンケン長官は23~24日、ベルギーのブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)外相会議に出席し、汎大西洋同盟の強化などについて協議する予定だ。アジアの核心同盟強化を確認した後、中国との激しい探索戦を経て、欧州の同盟との再確認に乗り出す道のりの中で、「同盟を巻き込んで中国への圧力」を強めてきたわけだ。

 中国は強く反発している。中国の王毅外交部長は23日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会談で「ここ数日間、少数の西側勢力が中国を誹謗中傷する宣伝を行っている」とし、「偽りで中国内政に干渉できる時代はすでに過ぎ去ったことを知るべきだ」と述べた。両国外相は同日の会談後に発表した共同声明でも、「民主主義に標準モデルはなく、主権国家が独自の発展経路を選ぶ法的権利を認めるべきだ」と強調した。

 これに先立ち、中国外交部は前日に声明を発表し「偽りと虚偽の情報に基づいたEUの一方的な制裁は中国内政に対する深刻な干渉であり、国際法とルール違反であると同時に、中国と欧州連合関係を深刻に損なう」としたうえで、「中国の主権と発展利益を侵害し、悪意的に偽りと虚偽の情報を流布した個人10人と機関4カ所を制裁する」と発表した。

 中国の制裁対象には、欧州議会のラインハルト・ビュティコファー対中国関係委員会委員長やミカエル・ギャラ台湾親善グループ議長など、現役の政治家が多数含まれている。また、欧州議会人権小委員会とドイツの著名なシンクタンク、メルカトル中国研究所なども制裁対象となった。中国官営の新華社通信は、中国外交部側が22日夜、EUのニコラ・シャピュイ駐中大使を呼んで制裁決定に抗議する一方、対抗措置を通知したと報じた。

ワシントン・北京/ファン・ジュンボム、チョン・インファン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/987938.html韓国語原文入力:2021-03-24 02:32
訳H.J

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