昨年、欧州連合(EU)で再生可能エネルギー由来の電力生産が、史上初めて化石燃料由来の電力生産を上回ったことが明らかになった。
ドイツと英国系シンクタンクの「アゴラ・エネルギーベンデ」と「エンバー」は24日(現地時間)に発表した2020年欧州電力報告書で、(英国を除く)27のEU加盟国の再生エネルギー由来の電力生産量が昨年、全体の38.2%を占めたと明らかにした。これは風力や太陽光、水力、生物有機体(バイオマス)のエネルギーを合わせた数値で、1年前より4.2%増えた。一方、石炭やガスを利用した電力生産の割合は2.5%ポイント減った全体の37%だった。
電力生産で風力と太陽光が占める割合は2019年全体の17%で、史上初めて石炭(15.8%)を上回ったのに続き、昨年は19.6%に増えて、石炭(13.2%)との差がさらに大きくなった。
同報告書は「石炭発電はほぼすべての国で減ったが、これは新型コロナウイルスの大流行以前から進んでいた傾向」だと指摘した。昨年、新型コロナを遮断するための封鎖の余波などで電力価格が下がり、石炭発電の収益性が落ちたことも影響したとロイター通信が指摘した。
国別の風力・太陽光発電の割合を見ると、デンマークが全体の61%を記録し、他の加盟国を大きく引き離した。デンマークの風力・太陽光発電の割合は2010年20%、2015年51%だった。アイルランド(35%)やドイツ(33%)、スペイン(29%)も比較的風力・太陽光発電の割合が高かった。一方、フランス(10%)やブルガリア(8%)、ハンガリー(7%)、チェコ(4%)、スロバキア(2%)は加盟国の平均値を大きく下回った。