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日本皇室、消滅の危機にも「女性・女系天皇」の排除続けるか

登録:2020-12-23 06:14 修正:2020-12-23 11:26
2014年12月23日、当時の明仁天皇(左から3番目)の81回目の誕生日を迎え、皇室が東京王宮のバルコニーで挨拶している。左から雅子現皇后、徳仁天皇、明仁上皇、美智子上皇后、文仁皇嗣、貴子皇嗣妃、真子内親王=東京/AP・聯合ニュース

 先月8日、次の天皇継承順位第1位である秋篠宮文仁親王(55)の地位を対外的に知らせる「立皇嗣の礼」が皇居の松ノ間で開かれた。息子のいない徳仁天皇(60、第126代)は弟の文仁親王を「皇嗣」(天皇継承順位第1位)と宣言した。明治維新を機に、日本が憲政体制を導入して以来、皇位継承の第1順位が息子ではなく、弟になったは初めて。しかし、徳仁天皇がが退任する頃には文仁皇嗣も高齢であり、皇嗣の息子で30代以下の王族の中で唯一の男性である悠仁親王(14)が次の天皇になる可能性が高い。安定的な皇位継承を示す宣布式が逆説的に、危機を迎えた皇室の現状をそのまま表したわけだ。

 皇室研究家の高森明勅氏は最近、ブログで「このままでは皇室は消滅の危機に直面する」と強調した。皇室危機の直接的な原因は「皇太子の不在」だが、皇室典範による「結婚退職」も問題だ。30代以下の王族7人のうち悠仁親王を除く女性6人は、結婚とともに皇籍を失うことになる。現在の規範が維持されれば、悠仁親王が天皇になる頃には皇族がほとんどいなくなる可能性もある。

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30代以下の男性皇族は1人だけ

 皇室の危機を言及する時、欠かすことのできない人物が雅子皇后だ。有能なキャリアウーマンだった雅子皇后は皇室に入り適応障害を患って、2002年以降18年間、公の場にあまり姿を現さなかった。「万世一系」(日本皇室の血統が断絶したことがないという主張)の世継ぎを産めなかったからだ。皇后の結婚生活27年を振り返ってみると、時代の変化とかけ離れた日本の皇室の素顔が如実に表れる。

 小和田雅子(皇后の旧名)氏は23歳だった1986年、外交官になった。外交官の父親のおかげで、23年の半分はモスクワやニューヨークなどの外国で暮らした。ハーバード大学で経済学を学んだ彼女は、米国の金融界から就職の提案を受けたが、日本に戻った。 20代の頃はテレビのインタビューで、「外交官なので海外勤務が多いが、家庭と仕事を両立したい」と話すなど、キャリアウーマンの顔をのぞかせた。

皇室の家系図//ハンギョレ新聞社

 雅子氏は1986年末、外交使節の行事で通訳を務め、当時皇太子に出会った。徳仁皇太子の求愛を受け入れ、1993年6月、「皇室外交」という新たな夢を見て結婚式を挙げた。当時着た重さ10キログラムの「十二単」のように、皇太子妃の皇室生活は一見華やかだった。しかし「世継ぎ」という巨大な宿命の前に抑圧と束縛の連続だった。マスコミでは不妊症に関する記事が相次ぎ、皇太子妃は妊娠の重圧から海外歴訪もできなくなった。

 結婚8年6カ月目の2001年12月、皇太子妃は一度の流産を経て、ついに出産した。出産から15分後に、王室担当記者団に子供の性別が伝えられた。「皇太子妃が女の子を出産した。母子ともに健康だ」。当時、記者室は水を差したように静まり返ったという。世継ぎの男の子ではなかったからだ。愛子内親王が誕生してから、日本の皇室はより強く危機を語るようになった。第二子、第三子を期待するには皇太子夫婦の年齢が高く、皇太子妃の体調も良くなかった。皇室で徳仁皇太子より年下の男性は、5歳下の弟、文仁親王だけだった。

 皇太子妃は2003年12月、帯状疱疹で倒れて入院し、2004年7月には「適応障害」の診断を受けて治療に入った。2006年、41年ぶりに男性皇族の悠仁(文仁親王の息子)が生まれ、皇室は皇位継承問題について一息つくことになった。健康を回復中の皇后は、昨年10月に徳仁天皇の即位式を行い、外交使節にも会っている。今月9日には誕生日を迎え、国民にメッセージを送った。しかし同日、宮内庁医師団は「まだ体調に波がある」とし、治療を続けなければならないと明らかにした。

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皇室の性差別改革世論高まるが、極右勢力意識した菅首相は“難色”

 皇族が消滅する危険に直面し、日本政府も本格的に対策づくりに乗り出した。女性・女系天皇を認めるかどうか、結婚した女性皇族の身分をどうするかが主な問題になっている。結局、「男女平等」という時代の変化を皇族が受け入れるかどうか、選択の岐路に立たされているわけだ。

 菅義偉首相は9日、テレビ東京とのインタビューで、「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある」と述べ、遠回しながらも事実上女性・女系天皇に否定的な立場を示したものである。日本政府は現在、女性皇族が結婚しても特別職公務員の資格で皇室の公務活動を続けられるようにするなど、最小限の制度改善を進めている。

 日本国民の70%以上が女性・女系天皇に対して賛成しているにもかかわらず、政府与党がこれに背を向けるのには理由がある。自民党の支持基盤である保守勢力がこれに反対しているからだ。極右団体「日本会議」を支援する「日本会議国会議員懇談会」所属議員らは最近、菅首相との面会で「男系による安定的な皇位の継承を維持すべき」と要求した。極右勢力は女性・女系天皇が認められれば皇室の伝統とタブーが緩和され、結局「天皇制」そのものを揺るがす可能性があると考えている。

 しかし、時代の流れに逆行するのが皇室の本当の危機という指摘もある。登誠一郎元内閣外政審議室長は朝日新聞のウェブマガジン「論座」への寄稿で「国の象徴の継承という最も基本的な事項について『男女差別』が存続することは、多くの国民にとって理解に苦しむ」と批判した。菅野朋子弁護士は同サイトのインタビューで、「愛子さまは『お母さんが批判されるのは、自分が女の子だからだ』と自分を責めてしまったのだと思う」とし、「皇室にそういう価値観があること自体が重たい。そのことによって、実際に『男の子を産みなさい』と言われたことはなくても、言われたように感じる女性は世代を超えている」と語った。また、制度変更の議論については「(政府は)有識者を集めて意見を聞くということになるだろうが、有識者を集めるのは政権側。そこでの議論より、国民の声を聞くことだと思う」と述べた。

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/975302.html韓国語原文入力:2020-12-228:14
訳H.J

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