米国のワシントンを訪問しているキム・ヒョンジョン通商交渉本部長は27日(現地時間)、「(米国の)韓米自由貿易協定(FTA)廃棄の威嚇は実在的であり、切迫している」と明らかにした。
キム・ヒョンジョン本部長は、今月18日からワシントンに滞在しながら、米政界および業界関係者に接触した後、同日、ワシントンの駐米韓国大使館で記者懇談会を開いてこのように伝えると共に、「米国側が(FTAを)廃棄するという威嚇をテコとして使い続けるようだ」と見通した。韓国と米国は来月4日、ワシントンで韓米自由貿易協定共同委員会第2次特別会期を開く。
これに先立ち、今月初め、ドナルド・トランプ米大統領が韓米自由貿易協定の廃棄の準備を指示したという海外メディアの報道で波紋が広がったが、ホワイトハウスが「当分は議論しない」と鎮火に乗り出し、“廃棄”をめぐる議論はいったん水面下に沈んだ状況だ。キム本部長の同日の発言は、米国側の「協定破棄カード」が完全に消えたわけではないことを意味する。
キム本部長は、米国側の廃棄の威嚇を“ブラフィング”(bluffing、はったり)ではなく、実質的なものと判断するかという質問に対し、「ホワイトハウスと20人以上の上院・下院議員、業界関係者らが一貫して同様に語るのを見ると、ブラフィングではないようだ」と述べた。キム本部長は「ブラフィングではなくても、交渉準備が整っており、うまく進める自信がある」と付け加えた。
特にキム本部長は今月初め、韓米自由貿易協定の廃棄が差し迫ったと報道した米国メディアの記事に触れ、「今回、上院議員6人に事前に会って確認してみた結果、『廃棄するという(トランプ大統領の)手紙』まですでに作成されたという」と伝えた。
キム本部長は、「両国間の共同調査・分析・評価が先に行われるべき」という韓国側の提案に対し、米国が否定的な立場を示したことと関連して「効果分析と改定交渉は並行することは可能だ」と明らかにした。米国側が韓国の提案を交渉遅延の戦略として認識している状況で、現実的に改定・修正交渉に入るしかないことを示唆したものと見られる。
キム本部長は「米国で最も関心を持っているのは履行」だとしたうえで、「批准当時署名した協定がきちんと履行されていないということに対する不満が大きかった」とし、「その部分については(韓米がすでに)51回も会議を行っており、韓国の義務なので、忠実に履行していく」と述べた。
彼は、朝鮮半島の安保問題と関連した自由貿易協定の交渉戦略について、「安保問題が生じたときは、韓国の立場から見ると、米国がさらに譲歩すべきではないかと思う」とし、「韓米関係は韓国にも重要だが、米国にとっても重要である」と主張した。
キム本部長の発言内容からすると、米国側は条約破棄の威嚇▽不十分な履行▽当局の為替への介入問題を3つの手段として韓国を圧迫していることが窺える。これによって、来月4日に開かれる第2次会期で両国は今後の交渉テーブルの上に載せる議題の選定をめぐり、激しい主導権争いを繰り広げるものと予想される。