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ミャンマー少数民族のロヒンギャ族、迫害から逃れアンダマン海で約2万人漂流中

登録:2015-05-15 22:29 修正:2015-05-16 06:48
水もなく小便を飲んで耐える難民たちの“死の航海”…インドネシア・マレー・タイは上陸を阻むためのピンポンゲーム
船でアンダマン海をさまよっているロヒンギャ族とバングラデシュ難民が14日、タイ南部のリペ島付近でタイ軍がヘリコプターから落とした食糧を海から引き上げている。船には女性や子供たちも多数乗っていて、難民たちは10人余が航海中に亡くなったと話した

 6000人から2万人と推定されるロヒンギャ族とバングラデシュ難民が、東南アジアのアンダマン海を漂流している。 アンダマン海の周辺国家であるタイ、マレーシア、インドネシアは、難民を自国領海から追い出すことに汲々としている。 行き場がない難民たちは、小さな船内には飲み水がなく、自身の小便を飲んで耐えているが、死亡者も出てきている。 海上漂流難民の中には貧困を抜け出すために船に乗ったバングラデシュ人もいるが、多数はミャンマーから迫害を避けてマレーシアなどに行こうとしていた少数民族ロヒンギャ族だ。

 タイ海軍は14日、タイ南部の海岸で300人余が乗った難民船を発見し、この船に食糧など救護品を支給した後、領海外に出させたとバンコク・ポストが伝えた。 タイ政府は、難民がタイに上陸することを望まず、第3国に行くことを願ったと発表した。 船に乗った難民たちは、記者たちを乗せた船が近付くと「航海中に10人が死に、遺体は海に投げてしまった。水が必要だ」と大声を張り上げた。 船は「私たちはミャンマー ロヒンギャ」と書いた黒い旗を付けていたと新聞は伝えた。

 しかしロヒンギャ難民が主に行くことを希望しているマレーシアは13日、ペナン近海で難民500人余が乗った船を追い返し、ランカウィ島付近で発見された300人が乗った難民船も領海外に追い出した。 インドネシア海軍も今週、400人が乗った難民船に若干の食糧を与えた後にマレーシアに行けとして追い出した。 15日にはマレーシアから追い出された700人以上を乗せた難民船が、インドネシアまで来たが、船が沈没し地域の漁民たちに救助されたとAFP通信は伝えた。

 この地域の国家指導者たちは、難民を受け入れはしないと露骨に話している。タイのプラユット・チャンオチャ首相は「我々が彼らを皆受け入れる予算はどこから出てくるか。 誰も彼らを望まない」と述べた。 マレーシアのワン・チュナイディ内務部次官は「我々がどのようにすることを願うか? 我々は密入国する人々に親切にしてあげた。だが、このような形で海岸に押し寄せて来る人々にこれ以上は我慢できない」と述べたとAP通信は伝えた。 人権団体ヒューマンライツウォッチ・アジア支部のフィル・ロバートソンは「インドネシア、タイ、マレーシアが難民に対して三角ピンポンゲームをしている」と批判した。

 ロヒンギャ族難民問題には複合的な原因があるが、最近になって海上漂流問題が深刻化した直接的契機の一つは、タイ政府の取り締まりだ。 イスラム教を信じるロヒンギャ族はミャンマー西部のラカイン州に主に居住する約130万人の少数民族だが、ミャンマー社会の主流である仏教徒から長期にわたり迫害を受けてきた。 彼らは同じムスリム国家であり所得水準の高いマレーシアに密入国することを希望するケースが多い。 ブローカーらは彼らにタイ密林地帯を経由する密入国通路を斡旋してきたが、最近タイの密林でブローカーに捨てられ亡くなったロヒンギャ族と推定される約30体の遺骨が発見された。 タイ政府はブローカーに対する取り締まりを一層強化し、ブローカーらはこの渦中で密入国用船舶に難民を放置して逃げてしまった。

チョ・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/691463.html 韓国語原文入力:2015-05-15 20:08
訳J.S(1705字)

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