朝鮮半島をめぐる米中間の対立の争点となっているTHAAD(高高度防衛ミサイル)は、韓米同盟を超えて米国の包括的な東アジア戦略と密接に関わっている。THAADの中核となるXバンドレーダー「AN / TPY-2」がすでに日本国内の2カ所に配備され、在日米軍が北朝鮮全地域の弾道ミサイルの動きを確認・追跡できるシステムを備えた状態であるため、朝鮮半島への追加配備は、結局「中国牽制のため」という中国側の疑念を拭い去れない状況だからだ。
米国が現在、中国を刺激するTHAAD論議の中心となっているXバンドレーダー「AN / TPY-2」を東アジアに初めて導入したのは、2006年6月だ。その一カ月前、日米は「在日米軍再編実施のための日米のロードマップ」を採択したが、その中心内容は中国の弾道ミサイル能力の強化などを考慮して、沖縄に配置された米海兵隊兵力の大半をグアムに移転することだった。
同文書で日米は「新しい米軍のXバンドレーダーシステムの最適配置場所に(日本の本州最北端に位置する青森県の)航空自衛隊の車力駐屯地が決まった」と米国の最新のレーダーであるAN / TPY-2を日本に最初に配置する方針を確定した。このレーダーがサードと連携した終末モード(terminal mode)で使用される場合、探知距離が1000キロ程度であることを考慮すると、韓国の東海岸のほぼすべて、北朝鮮の咸鏡道の一部、中国の吉林省・黒龍江省の一部、ロシア沿海州の一部が含まれる。
それ以降、オバマ大統領は、2011年11月、中国牽制を念頭に置いた「アジア回帰」政策を発表した。これを日米同盟のレベルで確認したのが2013年10月、日米安全保障協議委員会(2 + 2会議)で採択された共同文書「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」だった。同文書で米国は、初めて日本の集団的自衛権の行使などの軍事的役割の拡大方針を「歓迎する」立場を表明し、京都の航空自衛隊基地である経ヶ岬に2台目のAN / TPY-2を設置することに、日本と合意した。昨年12月にレーダーの設置が完了し、在日米軍は、平安北道のごく一部の地域を除いて、朝鮮半島全域の動きと北朝鮮が打ち上げたミサイルの動きを検出・追跡できるようになった。
それからさらに1年半が過ぎた13日、在韓米軍は東アジアで3台目のAN / TPY-2レーダーを韓国に配備するために、「候補地の調査をした」と明らかにした状態だ。レーダーの配置位置が青森→京都→韓国に西に進み、ますます中国側に近づいている。このレーダーが韓国西海岸に配備されると、在韓米軍は、北朝鮮だけでなく、北京など中国日本海沿岸の主要都市の動きをリアルタイムで確認できるようになる。チョン・ウクシク平和ネットワーク代表は「レーダーは多ければ多いほど、より良いので、米国の立場では当然レーダーの数を増やそうとするはずだ」とし「このレーダーはイージス艦やパトリオット(PAC)システムとも連携できるので、レーダーが配置されると、最終的には韓国が米国主導のMD(ミサイル防衛)システムへの編入を余儀なくされるだろう」と述べた。
韓国語原文入力: 2015.03.19 20:10