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[現地ルポ]フィンランドから学ぶ放射性廃棄物の最終処分(2)

登録:2014-09-24 19:59 修正:2014-09-25 09:31
30年に及ぶ公論化を経て地下455メートルに建設
独立的規制機関が住民に正確な情報を提供

 使用済核燃料は原子力発電所で燃料として使った後に残るウラニウム燃料棒だ。 強い放射線と高熱を放出する危険物質である高レベル核廃棄物だ。 専門家たちは使用済核燃料の放射能が消える期間を約30万年と見ている。 原子力発電所に反対する市民団体は、30万年間に人類の歴史が断絶する場合、永久処分施設の危険性を後代に伝える方法はないと憂慮している。

 使用済核燃料は原子力発電所から取り出して発電所の臨時保存施設内の水槽に数年間漬けておく。 放射性物質の流出を遮断して、使用済燃料棒の高熱を冷ますためだ。 その後の行方は色々な方案があるが、最終的には人間から完全に隔離されたところで永久処分しなければならない。 だが、危険性のため永久処理場のある国はまだない。 フィンランドとスウェーデンの二か国だけが処理場の敷地を選定した状態だ。

 韓国は2016年から一部の原子力発電所での臨時保存空間が満杯状態になる。 数十年間にわたり閉じ込めておく中間保存をどのようにするかが当面の課題だ。 低レベル核廃棄物(原子力発電所で使用された保護服や手袋など)の処理場である慶州(キョンジュ)廃棄物処理場の敷地選定に20年もかかったことを考えると、高レベル核廃棄物に対する長期ロードマップは足元に火がついてようやく動きだしたようなものだ。

■フィンランドの公論化“30年の道程”

 フィンランドでは現在4基の原子力発電所が稼働中で、1基が更に追加で建設中だ。 原子力発電への依存率は32.6%(2012年末基準)に達する。 フィンランドは世界で最初に使用済核燃料処理場の敷地を選定した国だ。 それがオルキルオトだ。

 フィンランドでの使用済核燃料の処分準備は1970年代後半に原子力発電所を初めて試運転した時に始まった。 ヘルコ・プリート雇用経済部エネルギー課政策審議官は「初めて原子力発電所を稼動する時、核廃棄物についても同時に議論した点に注目しなければならない。 1980年代初めに全体的な日程表を組んで、長期的な計画に従って動けるようにした」と話した。

 1978年、深層処分に関する妥当性の研究を始めたフィンランド政府は、1983年に使用済核燃料の永久処分を決め、敷地選定のために全国を対象に地質調査を始めた。 最初の段階で327地域を選定した政府は、環境要件と運搬、人口密度などを反映した環境影響評価を経て、1987年に5地域を選び出し敷地特性調査を実施した。 ユハニ POSIVA(使用済核燃料管理機関)諮問委員は「地方自治体の承認がなくとも政府が敷地選定調査をできるよう法的に保障されている。とはいえ政府と地方自治体が大きな衝突を起こしていないのは、政府が敷地を最終選定しても該当地方自治体が拒否権を行使できたため」と話した。

 フィンランド政府は、1993年から7年間にわたる敷地詳細調査を経て2000年にオルキルオトを最終選定した。 2001年5月、フィンランド国会は使用済核燃料をここに最終処分する政府案を通過させた。 当時199人の国会議員のうち賛成は159人、反対3人、棄権37人だった。

 まだ先は長い。 オンカロはオルキルオトに作る最終処理場の実証研究を遂行するために作った研究施設だ。 地下岩盤の特性研究とともに使用済核燃料の最終処分技術を実際と同じ条件で開発する予定だ。 オンカロの研究結果に基づいて2012年に最終処分施設建設許可を申請し、来年1月には建設許可の承認可否が決定される。 計画通り進めば2020年に運営許可を受けた後、2022年に最終処分手続きを踏むと見ている。

 ヤナ・アボルラティ雇用経済部エネルギー課首席顧問は「フィンランドの核廃棄物政策は、長期的政策と戦略を樹立して政権交替と関係なく推進された。 大きな枠組みの原則を決めて、建設と運営許可を下す段階では該当地方自治体の拒否権を明確に尊重した。 30年間にわたる政策推進の最も大きな力は国民との透明な疎通だった」と話した。

ヘルシンキ・エウラヨキ/キム・ジョンピル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/656524.html 韓国語原文入力:2014/09/23 20:19
訳J.S(1889字)

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