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スイス‘1ユーロ=1.2フラン’固定…為替レート戦争の引き金を引いた

原文入力:2011/09/07 20:34(1909字)
チョン・ウィギル記者


"無制限ユーロ買い入れ" …1週間の必要資金 GDP超えそう
ヨーロッパ負債危機で騰勢…企業競争力など墜落
ブラジル・日本など自国通貨評価切下げ参加の可能性


スイスがユーロ貨幣に対し事実上固定レート制採択を宣言したことにより、ユーロゾーン危機の余波が為替レート戦争にまで飛び火する兆しを見せている。
スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(SNB)は6日(現地時間)対ユーロ貨スイスフランの為替レートが1.20フラン以下に落ちる度に‘無制限的’にユーロ貨を買いとると明らかにした。スイスフランをユーロ貨に対して1.2フランを制限線とする、事実上の固定換率制施行を明らかにしたわけだ。先進国の中央銀行が為替レート介入線を公開的に明らかにする市場介入はきわめて異例的だ。中央銀行が市場と無制限の戦いを行うという意志表明であり、その実効性と成り行きが注目される。

スイス国立銀行はこの日 声明を通じて通貨当局の言葉としては信じられないほど強硬且つ断固たる語調で自国貨幣切り下げの意志を示した。銀行は「対ユーロ貨スイスフランが1.20という最低為替レート以下に落ちることをこれ以上容認できない」として「最大限の決意でこの最低線を強制することにより無制限的に外国為替を買いとる準備ができている」と明らかにした。銀行はまた「対ユーロ貨1.20フランでも相変らず高い水準であり、継続的に切り下げられるべきで、景気展望とデフレーション危機によっては一層進展した措置を取るだろう」と付け加えた。


スイスフランは金融危機とヨーロッパ負債危機によるドルおよびユーロ貨劣勢により安全資産を求める投資家らの買い入れにより2008年金融危機勃発前後の対ユーロ貨約1.6フランから最近は1.1フランまで切上げられ、最高値を更新してきた。これに伴い、競争力が落ちたスイス企業と政府はスイス国立銀行に断固たる措置を取るよう強力に要求してきた。


スイスフランだけでなく日本円、ブラジル レアル貨など金融危機以後に安全資産として取り扱われた通貨は急激な価値上昇を体験しており、自国の輸出不振など景気低迷とデフレ憂慮を生み出している。スイスの強力な市場介入以後、ノルウェーのクローネが2003年2月以後 対ユーロ貨最高価格を示し、スウェーデン クローナ貨が強勢を示すなど、資金は安全資産を求めて流れており各国の通貨当局を緊張させている。


スイスの為替レート戦争宣言により、日本とブラジル、ユーロ貨を採択しなかったヨーロッパ連合国家も自国通貨の切上げを防ぐための為替レート戦争に参加する可能性が高まっている。英国<ファイナンシャル タイムズ>は外国為替専門家たちの言葉を引用し「全面的な為替レート戦争が確実に始まった」とし、これは「現在の市場不安から安全な処を探す投資家たちの脱出口を封じ込めることにより金融市場の不安定をより一層高めるだろう」と展望した。


だが、スイスの劇薬処方が実効性があるかどうかは疑問だ。声明で見せた異例的な断固たる態度と決意によりスイス通貨当局は今後、毎日毎日1.20フラン線を守るために介入することが確実だ。 投資家はむしろこれを利用して価値が下がるユーロ貨幣を売り渡す機会とするだろうという分析だ。この日のスイス国立銀行の発表後、ユーロ貨幣価値は一瞬のうちに1.10から1.22スイスフランへ約10%ほど暴騰し、阻止線である1.20台で動いている。


スイス国立銀行は昨年 市場介入を行い100億スイスフラン(約1170億ドル)の損害を被りあきらめた。一部の専門家たちはスイスが為替レート防御のためには一日に800~1000億スイスフランを使わざるを得ないが、これは一週間にすればスイス国内総生産より多い額だとし懐疑的反応もある。6日 ヨーロッパ証券市場でギリシャなどに金が流れたフランス銀行株が5%内外の暴落を再現し流動性危機の兆しまで見え、ヨーロッパ負債危機はより一層深まった。深刻化されるヨーロッパ負債危機で暴落可能性が今なお残るユーロ貨幣に対しスイスフランの切上げを防ぐというスイス当局の措置は‘市場との戦い’に対する代表的事例として記録されることが確実だ。 チョン・ウイギル先任記者 Egil@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/495389.html 訳J.S