成果給の支給方式をめぐって平行線をたどってきたサムスン電子の労使は、18日に政府の事後調整の下、中央労働委員会で再び顔を合わせ再交渉に臨むことになり、妥結の可能性に関心が集まっている。ただしサムスン電子の社員の間では、これまでの交渉の停滞で会社に対する不信感は臨界点を超えたと評されている。
17日のハンギョレの取材を総合すると、11日から13日にかけて中労委の仲裁で行われた事後調整が合意に至らなかったことを受け、半導体事業を担当するDS部門を中心としてストライキの機運が高まっている。組合は、交渉が決裂した場合、21日から十八日間にわたってストを行うことを表明している。17日午前11時40分現在、サムスン電子賃金交渉共同闘争本部が独自に集計した、スト参加意思を表明している労働者の数は4万6968人。交渉決裂の翌日の14日午後4時には4万5006人だったが、三日間でさらに2000人近くがスト参加を決定したということだ。
交渉が進展せず労使間の対立が続いていることで、両者の感情の溝はさらに深まっている。15日に会社側がサムスン電子の社長団の「国民への謝罪文」を外部の人には見ることのできない社内イントラネットポータルの正面に掲載したところ、社員の間では「会社は交渉相手である社員ではなく、政府と国民に訴えている」として反発が起きているという。非組合員のAさんはハンギョレに「競合のSKハイニックスに準ずる成果給の支給要求と成果給基準の透明化は、組合として当然主張しうるもの」だとして、「会社側は(これまでの交渉で)社員ではなく政府や国民などを相手にメディアプレーを繰り広げつつ、『労組を社会悪』にしてきた。社員は非常に不快に思っている」と語った。SKハイニックスの労使は、サムスン労組の主張する成果給の透明化と上限廃止について、2021年から昨年にかけて合意している。
労使は、先月の労組の闘争決意大会以降、「スト勧誘」の方法をめぐっても綱引きを続けてきた。組合員は先月23日の平沢(ピョンテク)での集会を前に、社内システムの「部署員勤怠照会」機能を用いて、各部署の集会参加者数を集計。これに対し会社側は、一部の社員がシステムを利用して集会参加を「勧誘」したとして、部署員の勤怠確認機能を停止した。これに対し労組は、社内メッセンジャーのニックネームやステータスメッセージなどを「スト」に関連する文言に変更するという方法で結束を図っている。この日午前時点で、社内メッセンジャーにストに関する文言を記している労働者の数は4万5800人を超えている。
特にDS部門の一部の部署では、社員の激しい反発によって、ストに関係する部署長や役員による内部統制がほぼ不可能な状況だという。社員の話によると、先月23日の組合のスト決意大会の際にも、多くのDS部門で、24時間稼働するラインを管理するための3交代勤務から一部の構成員が抜けることを、部長はもちろん担当役員まで承認したという。DS部門に所属する非組合員のBさんは、「ほとんどの部署でスト参加の意思を表明した人が多いため、そもそも統制が不可能な状況」だと語った。組合員のCさんは「部署によって異なるが(役員でも労組員でもない)一部の部署長は、ストへの参加を公然と促すわけではないものの、暗に参加の雰囲気を容認しているという声もある」と語った。
社員の間では、会社に対する不信のもうひとつの背景として、経営陣の「リーダーシップ不在」があると評されている。昨年の初めまでは内部で「サムスン危機論」が広がっていたため、明確なビジョンやリーダーシップが見出せなかったというのだ。Aさんは「今回の成果が経営陣の設定したビジョンにもとづいて得られたものであったなら、社員も拍手しながら(未来の投資資金の確保などを考慮しようという)会社側の意見を十分に支持したはず」だとして、「経営陣のリーダーシップ不在と相互信頼の弱まりが懸念される」と語った。