韓国の国策研究機関である韓国開発研究院(KDI)が、今後5年間の韓国の潜在成長率を年平均1.5%(基準シナリオ)に引き下げた。少子高齢化による人口構造の変化により、研究院が3年前に提示した潜在成長率より0.4ポイント下がったもの。研究院は潜在成長率の下落傾向が続く場合、2040年代にはマイナス成長の可能性もあると警告した。
研究院は8日に発表した報告書「潜在成長率見通しと政策的示唆点」で、「今年の潜在成長率は1.8%と推定され、2040年代後半には0%前後まで下落すると予想される」と分析した。潜在成長率は、国の労働力・資本などすべての生産要素を活用し物価上昇を誘発せずに最大限達成できる経済成長率の見通しを指す。通常、経済の基礎体力として見られるが、3年ぶりに大きく低下した。
投入できる労働力と資本は変化の幅が制限的なだけに、研究院は構造改革などを反映した総要素生産性(労働・資本投入を除く技術水準、経営革新、規制緩和などを全て包括した生産性指標)の改善程度によって場合を分けて、今後の潜在成長率見通しを提示した。研究院が提示した基準(中立)シナリオでの潜在成長率は、2025~2030年1.5%、2031~2040年0.7%、2041~2050年0.1%と展望された。同期間の楽観的シナリオでは1.7%→1.1%→0.5%、悲観的シナリオではそれぞれ1.2%→0.4%→-0.3%と表れた。
チョン・ギュチョルKDI経済展望室長はこの日のブリーフィングで「総要素生産性によって成長率も相当変わると予測されるだけに、経済構造の改革に力を集中させなければならない」と強調した。そのために企業のエコシステムの革新性向上、競争制限規制改善、年功序列型賃金体系など労働市場の構造改革、仕事・家庭の両立および高齢者の経済活動参加拡大などの方策を提示した。
研究院は財政政策に関しても「潜在成長率の下落で歳入基盤が弱まり、国家債務は長期的に国内総生産(GDP)を超過するだろう」とし「公的年金など高齢化関連の支出構造を再設計しなければならない」と主張した。