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寿命が延びたのに引退年齢はそのまま…韓国、老後の心配で消費が増えず

登録:2025-04-23 20:39 修正:2025-04-23 22:23
今月20日、ソウル市明洞の通り/聯合ニュース

 この20年間で韓国の国内総生産(GDP)が年平均4%増加するあいだ、民間消費の増加率は3%にとどまることが分かった。期待寿命は増加したが引退時期は変わらず、貯蓄を増やして消費を減らしているためだという分析だ。高齢層の労働市場への参加を増やす案が必要だとの提言が出ている。

 23日に韓国開発研究院(KDI)が発表した「人口要因が消費性向に及ぼす影響と示唆点」(キム・ミル、イ・スンヒ研究委員)の報告書によると、過去20年間(2004~2024年)の平均消費性向(GDPに占める民間消費の比重)は52.1%から48.5%へと3.6ポイント下落した。国内経済が成長する速度ほどには消費は増えていないという意味だ。

 報告書では、その中で期待寿命の延びが平均消費性向の3.1ポイントの下落に寄与したと推定した。同期間に韓国の期待寿命(特定年度の出生者が今後生存すると期待される平均生存年数)は77.8歳から84.3歳へと約6.5歳増えたが、期待寿命が1年延びる度に消費性向は約0.48ポイント下落したということだ。

 消費性向の下落は、引退後の長くなった余生に備えて貯蓄しようという動機の強化と関連がある。生涯の主職場の退職年齢には大きな変化がない中で期待寿命が延び、退職後に相対的に所得が低く不安定な働き口に従事する可能性に備えて、貯蓄性向が高まると言うことだ。

 実際、引退を目前にした50~60代が消費を大幅に減らし、この20年間で消費性向全体を引き下げたと分析された。これらの年齢層が消費全体に占める割合は36%だが、消費性向全体の減少に対する寄与度は半分の水準と現れたためだ。研究院が年代別消費性向の変化を調べるために、別途に家計の可処分所得に占める消費支出を分析した結果、全年齢層の平均消費性向の減少幅(7.8ポイント)のうち半分(3.9ポイント)は50~60代が占めていることが分かった。

 ただし研究院は、今後は期待寿命の増加傾向が鈍化し、資産を蓄積した超高齢層(75歳以上)人口の割合が増え、消費性向は再び上がる可能性があるとみている。報告書は「2030年代中盤から次第に反騰すると推定される」とし「これに伴い民間消費の増加傾向が経済成長率を下回る現象も次第に緩和される見込み」だと明らかにした。

 また、平均消費性向の下落に国内労働市場の構造的問題が投影されているだけに、対応策を探す必要があるとも提言した。報告書は「年功序列型の硬直的な賃金構造を改善し、職務・成果中心の賃金体系を強化する一方、定年退職後の再雇用制度を活性化するなどの方法で高齢層の労働需要を拡大する必要がある」と補足した。

資料:韓国開発研究院//ハンギョレ新聞社
パク・スジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1193912.html韓国語原文入力:2025-04-23 17:30
訳J.S

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