米国のドナルド・トランプ大統領が「韓国は米国より平均4倍も高い関税を課している」と言及したが、これは事実とは異なる主張とみられる。韓米自由貿易協定(FTA)によって両国間の交易はほとんどが「無関税」で行われるためだ。
トランプ大統領は4日(現地時間)、政権2期目の初の上下両院合同会で行った施政方針演説で、「韓国の平均関税率は(米国より)4倍高い」とし、「我々は韓国に軍事的に、そして様々な方面で多くの支援を提供している。なのに、そのようなこと(高関税の賦課)が起きている」と述べた。
韓国政府はトランプ大統領の「関税率4倍」発言が世界貿易機関(WTO)加入国同士で賦課する最恵国待遇(MFN)の関税率に基づいた主張だと推定している。最恵国待遇関税率は、WTOの加盟国同士が特定国家に対する差別なしに普遍的に適用する関税率を意味する。2023年基準、米国の最恵国待遇関税率は平均3.3%で、韓国は13.4%だ。この数字だけを比較すると、韓国の関税率が4倍ほど高く見える。
しかし、実際の韓米交易には、両国が締結した自由貿易協定(FTA)が優先的に適用される。これを受け、米国製輸入品に適用される韓国の平均関税率は、昨年基準で0.79%(実効税率基準)に止まっているのが実情だ。今後適用される関税還付額まで計算すると、関税率はさらに低くなる。 現在、米国の工業製品に課される関税率は0%だ。コメやオレンジなど一部の米国産農産物を除けば、ほとんどの商品が無関税で輸入・輸出されるわけだ。
このような事実を無視したトランプ大統領の発言は、関税交渉などと関連して韓国政府に圧力を加えるのが狙いとみられる。通商当局関係者は「トランプ大統領の発言は最恵国待遇関税に関するものとみられる。『4倍差』という言葉について言及するのは控えたい」と述べた。