韓国で昨年の合計出生率が0.75人に上昇した。9年ぶりの反騰だ。年間出生児数も前年比8300人増えた。ただし、反騰傾向が今後も持続するかどうかには疑問符がつく。安定した青年の働き口が減り、住居費用も高い水準に維持されるなど、青年の厳しい暮らしの条件が依然として改善されていないためだ。
韓国統計庁が26日に発表した「2024年人口動向調査出生・死亡統計(暫定)」によると、昨年の合計特殊出生率は0.75人で、2023年(0.72人)に比べて0.03人増えた。合計出生率は、女性1人が生涯に産むと予想される平均出生児数を意味する。
合計特殊出生率は2016年(1.18人)から減少を続けていたが、9年ぶりに反騰した。1984年(1.74人)に初めて1人台に落ちた合計特殊出産率は徐々に減少したが、2000年代に入ると1人前半台をかろうじて維持した。ついに2018年(0.98人)には初めて1人台が崩れ、その後も持続的に減少し2023年には0.72人まで下がった。
年間出生児数も9年ぶりに反騰した。昨年は23万8300人で、1年前より8300人(3.6%)増えた。かつての100万人台(1970年)から着実に減少していた年間出生児数は、2001年に50万人台、2002年には40万人台に減少した。しばらく40万人台を維持してきたが、2017年に30万人台に落ち、3年後の2020年からは20万人台まで下がった。2023年には過去最低の23万人を記録した。
統計庁は2022年8月以降、新型コロナウイルス感染症の防疫解除の影響で婚姻増加傾向が続き、主に子供を産む30代前半の女性人口が増加した点を合計特殊出産率反騰の主な要因に挙げた。現在30代前半の1991~1995年生まれの女性の人口は各年度別に33万人台で、その前の年齢帯(1984~1990年生まれは30万人)より多い。1990年に産児制限政策が廃止された影響だ。統計庁のパク・ヒョンジョン人口動向課長は「出産に対する価値観の変化と政府政策の効果も一部反映されたものと見られる」とも話した。
韓国の合計特殊出生率は依然として経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち、圧倒的な最低水準だ。昨年の韓国の合計特殊出生率はOECD平均(1.51人、2022年基準)の半分に過ぎない。
出生率の反騰傾向が今後も続くかについては、少なくない専門家が懐疑的反応を示した。統計庁が昨年の反騰の主な要因として挙げた30代前半の女性人口は次の世代に移ると再び30万人台に減少する。結婚件数も基底効果のために再び減少する可能性がある。
青年が未来を安定的に準備できる条件がまともに備わっていない点も問題として指摘される。昨年12月基準で仕事も求職活動もせずにただ「休んでいる」青年は41万1千人に達する。1年前と比べて4万5千人増加した数値だ。仁荷(インハ)大学のユン・ホンシク教授(社会福祉学)は、「政府の低出生対策は、出生率がこれ以上悪化しないよう防ぐ役割に止まっている」とし、「住居問題や青年雇用問題などが解決され、青年が自ら希望する人生を選択できる条件が整わなければ、有意な出生率の反騰は難しいだろう」と述べた。同日、チュ・ヒョンファン少子高齢社会委員会副委員長は、今年の合計出生率を0.79人と展望した。
一方、統計庁は出生動向を綿密に調べるために、これまで四半期単位で公開してきた合計特殊出生率を3月に発表する「2025年1月人口動向」発表から毎月公開することにした。