中国ファーウェイ(華為技術)の「華麗なる復活」が5ナノメートル(nm)の壁に遮られた。米国の輸出規制が続き、ファーウェイの半導体微細化にもブレーキがかかった。米国が「トランプ2期」で対中規制を一層強化する見通しであるだけに、中国の半導体開発の推移が注目される。
20日のブルームバーグの報道によれば、ファーウェイが設計した人工知能(AI)用半導体「アセンド」シリーズの次期作は、回路の線幅が前作と同じ7ナノメートルとなる見通し。少なくとも2026年までは5ナノに進めず、7ナノにとどまるという話だ。一方で「AIチップの一人者」のエヌビディア(NVIDIA)は、早ければ今年末に出す「ブラックウェル」シリーズに3~4ナノ工程を適用する。半導体回路が微細化するほど、同じ面積をより効率的に使うことができ、性能と容量が改善される。
米国の輸出規制に対抗した中国の「半導体開発」にブレーキがかかった姿だ。通常7ナノ以下の工程には、オランダのASMLが独占生産する極紫外線(EUV)露光装備が必要だが、米国とオランダ政府は2019年からASMLがこの装備を中国に輸出できないよう規制してきた。それでも中国最大のファウンドリ(半導体受託生産)業者のSMICは、旧型設備である深紫外線(DUV)露光装備だけでファーウェイが設計した7ナノ半導体の量産に成功し、話題になった。これに対し一部では5ナノも可能かも知れないと期待されていたが、今回は断念したということだ。トランプ2期で中国の半導体業界に向けた米国の制裁の集中砲火が一層激しくなる可能性があるという点も、否定的な展望が強くなる要因だ。
ファーウェイの「華麗なる復活」にも暗雲が立ち込めたという評価だ。ファーウェイは昨年8月、7ナノ半導体を搭載したスマートフォン「メイト60」を披露し、復活の信号弾を撃った。ファーウェイの持ち株会社の今年第1~3四半期の売上も5859億元(約12.6兆円)で、1年前より30%増えた。トランプ1期目で始まった米国の集中制裁による打撃を受ける以前の実績をほぼ回復した。ただし「5ナノの壁」を結局越えられなかった場合には、回復傾向にもブレーキがかかる見込みだ。モバイル半導体強者である米国クアルコムの「スナップドラゴン」シリーズの新製品は、すでに3~4ナノ工程を基盤にしている。