世界最大のファウンドリ(半導体受託生産)企業である台湾のTSMCが、中国の華為技術(ファーウェイ)の製品に自社半導体が使われている事実を米国に通知したと諸外国メディアが伝えた。米国は中国に先端技術製品が流れ込むことを阻んでいるが、今回の事例は輸出統制が実際には困難であることを示しているという解釈が出てきた。
22日(現地時間)、フィナンシャルタイムズとロイター通信によると、台湾の技術企業「テックインサイト」がファーウェイの「アセンド910B」を分解した結果、TSMCの製品が使われていたことを確認し、これを公式な報告書作成前にTSMCに知らせ、TSMCは米国商務省に関連内容を伝えた。アセンド910Bはファーウェイが昨年初めに披露したAIチップセットだ。ロイター通信は、今回の事例が先端技術関連の製品の輸出制裁が企業と規制当局の双方にとって難しいことを示していると伝えた。また、ファーウェイが依然として高性能の半導体を必要としていることを示しているとも述べた。TSMCの半導体がどのような経路でファーウェイに供給されたのかは明らかにされていない。
米国は数年間にわたりTSMC製品の中国への流入を制裁している。米国商務省は2020年5月、米国の技術を一部でも活用した半導体企業がファーウェイに製品を売るためには、米国政府の許可を受けなければならないという方針を出した。これに伴い、TSMCが製造した半導体もファーウェイの製品には使われなくなった。TSMCは最先端半導体を生産する7ナノ以下の工程のファウンドリ市場で90%以上のシェアを持つ。ロイター通信は、米国の輸出制裁前にはTSMCがファーウェイの「アセンドシリーズ」に使われる半導体を生産していたと消息筋を引用して伝えた。
これに先立って18日には、米国の情報・技術(IT)専門メディア「ザ・インフォメーション」などが、TSMCがファーウェイのためのスマートフォン・AI半導体を製造したのか米国商務省が調査中だと報道した。フィナンシャルタイムズは消息筋の話を引用して、TSMCがある顧客会社から「アセンド910B」に類似したチップを注文され、これを米国商務部に知らせたと伝えた。これに対し米国商務省は「輸出制裁違反の可能性についての報道を聞いた」としながらも、TSMCとファーウェイの調査が進行中なのかは言及できないと述べた。これに関連して21日、TSMCはEメールで声明を出し「報告された事項について、米国商務省と積極的に疎通した」として「規制の要求事項を順守するために、2020年9月中旬以後、ファーウェイには半導体を供給していない」と明らかにした。
諸メディアでは、先端技術を巡る米国と中国の競争がさらに激しくなっていることを最近の事例が示していると指摘した。フィナンシャルタイムズは「この数年間、ワシントンは中国企業が最先端半導体を確保したり、設計および製造することを不可能にするためにますます多くの輸出制裁を使ってきた」として「ファーウェイはこのような努力の主要な標的の一つであり、二つの強国間の技術覇権競争が激化していることを反映している」と伝えた。