生成人工知能(AI)など新技術の影響で自分の業務が脅かされているという韓国人の不安感は、主要10カ国のうち2番目に強いことが分かった。その一方で韓国人はAI技術の活用に他国の市民より肯定的であり、生成AIの開発を監視・規制する必要性は大きく感じていないことが分かった。
3日、韓国保健社会研究院のチョン・セジョン、シン・ヨンギュ両副研究委員が、韓国や米国、欧州など10カ国の市民をアンケート調査した資料(SCOaPP-10)を分析した報告書(「デジタル転換とAI技術に関する認識と態度に対する10カ国比較」)によると、AI技術に対する韓国人の相反する認識と態度がうかがえる。
韓国は「新技術の登場で自分の業務が脅かされる可能性があるか」という質問に「非常に同意する・同意する」という回答(35.4%)がイタリア(39.1%)の次に多かった。英国(28.3%)をはじめ、スウェーデン(20.1%)、デンマーク(18.3%)に比べてはるかに高い。 新技術の拡散によって仕事を失いかねないなど、韓国人の雇用に対する不安は他の国より大きいという意味だ。この他にも、デジタル技術の熟練度水準を問う質問に対する韓国人の回答は、他の国に比べて低い方だった。
一方、韓国人はAI技術の活用に対しては好意的な反応を示した。「老年期にパートナーの役割を果たすAIロボット技術」(64.2%、肯定的な回答率)、「税金・社会保障給与の計算のためのAI技術」(63.8%)、「疾病診断のためのAI技術」(58.7%)の利用の意向を尋ねる質問に対し、肯定的な回答率が10カ国の中で最も高かった。同じ質問に対してフィンランドやデンマークなど北欧国家では否定的な回答の方が多かった。
韓国人は規制については消極的な立場を示した。AI技術の誤乱用を防ぐために「独立的な機関が生成AIの開発を監視・規制する必要性があるか」という質問に対し、韓国人は58.7%が「非常に同意する・同意する」と答えた。10カ国のうち、イタリアに次いで2番目に低い数値だ。「労働者に代わる新技術が企業の収益を高める場合、規制すべきか」という質問にも、韓国人の32.9%が「規制しない・最小限の規制」を支持した。10カ国のうち最も規制に否定的な回答率だ。
AI技術の土台となるデータ活用機関に対する信頼度調査も目を引く。「個人データを責任を持って使用すると信頼できる機関」(重複回答)を尋ねる質問に、韓国人は41.6%だけが「中央政府を信頼する」と答えた。調査対象国の中でイタリアに次いで低い。同じ質問でフィンランドとノルウェーはそれぞれ73.2%と65.1%が中央政府を信頼していると答えた。
研究陣は「韓国人は比較的デジタル技術に対する自分たちの熟練度を過小評価する一方、デジタル技術を無批判的に受け入れ、過度な信頼を示す傾向があるとみられる」とし、「これは能力向上に向けた過度な努力や競争につながり、ややもすれば社会的費用や対立が拡大し社会統合低下のような副作用として現れる恐れがある」と話した。