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トランプ有力論の台頭で…バイデンに投資した韓国企業は超緊張

登録:2024-07-18 00:37 修正:2024-07-18 08:03
韓国の二次電池、自動車、半導体メーカーなど 
トランプの保護貿易強化予告に苦心
米国のドナルド・トランプ前大統領/AFP・聯合ニュース

 11月の米国大統領選挙でドナルド・トランプ前大統領再選の可能性が高まるにつれ、韓国産業界の緊張感も高まっている。トランプ前大統領は電気自動車(EV)の拡大などのエコ政策には否定的であるうえ、普遍的な基本関税の導入など、保護貿易の強化を予告しているからだ。バイデン政権の政策に沿って投資を増やした韓国の二次電池、半導体、完成車メーカーの苦悩は深まっている。

■トランプ「自動車を100%電気自動車にはできない」

 トランプ前大統領は16日(現地時間)のブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューで、「自動車を100%電気自動車にはできない。彼ら(バイデン政権)は誰もまともに分かっていない莫大な補助金(IRA)を与えている」と語った。IRAによってEVの拡大を推進してきたバイデン政権の政策を覆すということだ。

 トランプ前大統領はまず、IRAに手をつけるとみられる。2022年8月に施行されたIRAは、米国内で作られたバッテリーやEVに限って補助金を与え(消費者)、税額を控除する(企業)制度だ。LGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDIなどの韓国の二次電池メーカーは、この制度をテコとして米国現地に攻撃的な投資を続けている。ただし、IRAは廃止より縮小の可能性の方が高いというのが大方の見方だ。共和党の強い地域もIRAにもとづいた投資が増えるなどの恩恵を受けているためだ。サムスン証券地政学分析チームのチーム長を務めるユ・スンミンさんは、「IRA廃止は立法手続きを踏まなければならない。だが各州の利害が異なるし、共和党が議会を圧倒的に支配できなければ廃止の推進は難しい。大統領固有の権限である行政命令でIRAの効果を低下させようとするだろう」と語った。産業研究院のファン・ギョンイン副研究委員は5月に発表した報告書で、「IRAの変化が可視化すれば、韓国のバッテリー産業は困難に直面する可能性が高い」と述べている。

■自動車の対米貿易黒字「ブーメラン」

 現代・起亜自動車も米国の大統領選挙の影響下にある。米国第一主義を強調するトランプ前大統領によって、海外完成車メーカーが貿易収支の赤字を減らすための「ターゲット」とされる可能性があるからだ。昨年の自動車産業(完成車、EV、部品)の対米輸出額は453億ドルで、4年前(223億ドル)から103%増加している。産業研究院のキム・ギョンユ先任研究委員は、「トランプが政権に返り咲いた場合、韓国車の対米輸出は大きな打撃を受けることが予想される。韓国は『普遍的関税の対象国』とされる可能性が高い」と述べた。現在、米国への完成車、EVの輸出は基本関税が2.5%だが、韓米自由貿易協定(FTA)によって「無関税」の適用を受けている。トランプ前大統領は大統領選挙の公約として、無関税協定を締結しているかどうかとは関係なしに、すべての輸入品に10%の関税を課すことを掲げている。

■米中競争の中で半導体への影響は限定的

 米中戦略競争の核心をなす半導体産業に対しては、米政府の支援が継続されるだろうとの見方が有力だ。中国をけん制し、半導体産業を自国内に誘致するという戦略は、党の違いを超えて支持されているからだ。ただし、トランプ前大統領が台湾問題に言及した際に「彼ら(台湾)は米国の半導体事業の約100%を持ち去った」と述べたことを考えると、「半導体支援法」に則った補助金を米国企業に集中させる可能性も排除しがたいという見解もある。IBK経済研究所は報告書で、「米国企業とそれ以外の企業に対する補助金の格差が拡大する余地がある。韓国企業のファウンドリ占有率が低下する可能性がある」と語っている。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1149560.html韓国語原文入力:2024-07-17 18:59
訳D.K

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