本文に移動

米専門家「トランプ氏、当選すれば金正恩委員長に電話するだろう」

登録:2024-06-14 06:21 修正:2024-06-14 08:29
スティムソンセンターのシニアフェロー、ジョエル・ウィット氏、朝食懇談会で 
「民主党員なのでトランプ氏の当選は望まないが 
北朝鮮の核問題の突破口を開くきっかけになるかもしれない」
米国スティムソンセンターのシニアフェロー、ジョエル・ウィット氏が13日、ソウル中区の「カンファレンスハウス・タルゲビ」で、北東アジア平和経済協会の平和経済研究会主催で2時間余り行われた朝食懇談会で発言している=イ・ジェフン記者//ハンギョレ新聞社

 「トランプは11月の大統領選挙で勝てば、おそらく金正恩に電話をするだろう。解決策が見つからない北朝鮮の核問題で大きな突破口を開くには、トランプの当選がきっかけになるかもしれない」

 米国スティムソンセンターのシニアフェロー、ジョエル・ウィット氏は13日、ソウル中区の「カンファレンスハウス・タルゲビ」で、東北アジア平和経済協会の平和経済研究会主催で2時間余り行われた朝食懇談会で、「私は民主党員なので個人的にはトランプの当選を望んでいない」としてこのように述べた。

 ウィット氏は1994年の朝米基本合意書(AF)交渉に米国務省の一員として参加しており、米国の朝鮮半島問題専門ウェブサイト「38ノース(North)」を共同設立するなど、北朝鮮核問題を含む北東アジア安保問題の著名な専門家だ。

 ウィット氏は11月の米国大統領選挙で、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が民主党候補のジョー・バイデン現大統領を抑えて勝利すれば、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に電話をすると予想しながらも、「ところで金正恩がトランプに再び会いたがるだろうか」と問い返した。

 ウィット氏は「現在の朝鮮半島情勢は(脱冷戦後の)この30年間で最も悪い状況」だとしたうえで、「何より大きな地政学的変化が生じたため」だと指摘した。また「北朝鮮は米国との関係正常化を最も重要な外交政策としてきたが、今はそのような考えが消えたようだ」と付け加えた。さらに「たとえトランプが当選しても、北東アジアの地政学的状況に大きな変化がなければ、北朝鮮核問題と関連して意味ある進展を期待するのは難しい」と懐疑的な視線を隠さなかった。

 そして、「重要なのは、米国と中国が北朝鮮問題に関して協力できるかどうかだ。米中、朝中関係が改善するなど、地政学的な変化がない限り、期待はできない」とする一方、「だが、今米中の協力が可能だろうか」と疑念を覗かせた。

 ウィット氏は「今の状況で既存の漸進的変化を求めるアプローチでは何も期待できない」とし、「米国が大胆にならなければならない、躊躇(ちゅうちょ)してはならない」と政策の変化を求めた。例えば、「非核化」を前提条件ではなく「長期の課題」に据えなければならず、非核化を現実化するために、米国が北朝鮮との関係正常化▽制裁解除▽韓米合同軍事演習の中断などを一方的に宣言することも考える必要があるということだ。

米国スティムソンセンターのシニアフェロー、ジョエル・ウィット氏(右)が13日、北東アジア平和経済協会の平和経済研究会主催で2時間余り行われた朝食懇談会で発言している。隣は、ムン・ジョンイン延世大学名誉教授=イ・ジェフン記者//ハンギョレ新聞社

 ウィット氏は2019年2月、ベトナムのハノイで開かれた2回目の朝米首脳会談が物別れに終わってから「ハノイで何があったのか」を追跡してきた。2018~2019年に南北米3カ国首脳の平和外交に深く関与した韓米などの関係者300人余りをこの6年間インタビューしてきた。「ハノイ秘史」を含むこれまでの研究成果は、早ければ10月頃に「朝鮮半島の危機-北朝鮮核兵器秘史」(Flashpoint:The Untold Story of How North Korea Built Its Nuclear Arsenal)という題の単行本として米国で出版される予定だ。

 ウィット氏は「ハノイ合意の失敗」の主な原因の一つとして「リーダーの問題」を挙げた。「経験不足で未熟な交渉家」の金正恩委員長と、「我慢が足りない」トランプ前米大統領が歴史的な機会を逃したということだ。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1144709.html韓国語原文入力:2024-06-13 18:55
訳H.J

関連記事