医師のA氏は、ブローカーの紹介で来院した患者に虚偽で下肢静脈瘤手術費の領収書を発行し、700人余りの患者が医療保険金を請求するかたちで総額50億ウォン(約5.5億円)を不正に受け取った疑いで裁判にかけられ、懲役7年の刑を言い渡された。韓国金融監督院が捜査依頼し摘発された保険金詐欺の事例だ。
金融監督院は、近ごろブローカーと連携した保険金詐欺事例が拡散し続けており、特にひざ関節への幹細胞注射など新医療技術として最近承認された健康保険適用外の治療に関連した保険金請求が急増している点を考慮し、医療現場の実態調査など企画調査を強化する方針だと24日明らかにした。医学部の増員をめぐる国会と政府間の対立が長期間続く中、監督当局も医療スタッフに対する圧迫に乗り出す模様だ。
金融監督院によると、昨年7月に保健福祉部の告示を通じて新医療技術の承認を受けたひざ幹細胞注射の保険金請求件数は、7月当時は38件だったが、1月には1800件となり、保険金支給額も同期間に1億2千万ウォン(約1400万円)から63億4千万ウォン(約7億円)に急増した。
金融監督院が企画調査に乗り出す保険詐欺の脆弱分野は、新医療技術として承認された後に医療保険金の請求が急増する健康保険適用外診療▽医療保険金の支給金額が上位である健康保険適用外診療▽医療保険金増加率が上位である特定疾病治療などだ。金融監督院は保険業界懇談会や保険金支給現況分析などを通じて随時動向を調査し、必要あれば保険業界と共同で医療現場を訪問し実態調査にも乗り出す方針だ。
特に金融監督院は、医療保険を請求できる治療として名目を偽り、整形手術・美容施術など不必要な診療・施術を受けた場合、患者も保険金詐欺の疑いで処罰を受けることがあると明らかにした。この場合、支給された保険金も返却しなければならないという。
金融監督院は「病院とブローカーが連係した最近の組織型保険金詐欺に対しては、疑惑が捕捉されれば迅速に調査に着手し捜査を依頼する計画」とし「高価な新医療技術の治療を薦めながら医療保険の補償対象に該当するよう診療記録を変更するなどの提案を受けた場合、積極的に情報提供してほしい」と明らかにした。