本文に移動
全体  > 経済

金浦空港から汝矣島まで約6千円・5分で到着…ソウルの「エアタクシー」実現化へ一歩

登録:2024-03-04 10:37 修正:2024-03-04 11:00
航宇研、垂直離着陸機「OPPAV」の無人飛行を初公開 
今年8月から蚕室~水西駅など首都圏飛行を実証
試験運航を終えて着陸したOPPAV=チェ・ジョンフン記者//ハンギョレ新聞社

 「わあ、速くて静かだ」

 先月28日、全羅南道高興(コフン)の航空宇宙研究院(航宇研)の航空センターで、垂直に離陸した小型機体「OPPAV」が上空を横切って飛行する光景が目の前で繰り広げられると、あちこちで歓声が上がった。航宇研が開発した電気垂直離着陸機(eVTOL)のOPPAVが、操縦士なしのリモートコントロール方式で無人飛行する姿がマスコミに初めて公開された瞬間だった。OPPAVが地上130メートル上空を時速160キロで20分間旋回飛行する間、参観者に数回近づいたが、ヘリコプターとは比較にならないほど騒音は小さかった。

 タクシーに乗るように、予約された小型機体に搭乗し都心の空の道を使い早く目的地に移動できる交通手段となる都心航空モビリティ(UAM=Urban Air Mobility)の商用化が目前に迫ってきた。来年末の商用化を目標に、現在、高興航空センターには7つの事業者コンソーシアムが、UAM運航をはじめ交通管理、バーティポート(垂直離着陸場)など統合運営を実証している。コンソーシアムにはSKテレコム、KT、LGU+の「通信3社」と、現代自動車をはじめ現代建設、GS建設、大宇建設、ロッテ建設など大手建設会社、大韓航空や済州航空、ティーウェイ航空など航空会社と、韓国空港公社など国内の46社が参加している。

 参加コンソーシアムのUAM事業構想にはそれぞれ特徴がある。現代自動車、KT、大韓航空、仁川国際空港公社が参加する「K-UAMワンチーム」は、KTの人工衛星を活用して通信死角地帯のない機体運用に取り組むという抱負を打ち出す。実証段階でOPPAVを使用し、2028年に商用化予定の現代自動車グループの機体「S-A2」を投入する計画だ。SKT、ハンファシステム、韓国空港公社などが構成した「K-UAMドリームチーム」は、最新の技術力と評価される米国のジョビー・アビエーションの機体「S4」を実証に活用する。SKTのキム・ジョンイルUAM事業推進担当副社長は「SKTが世界で初めて構築したUAM用5G上空網とAI技術、韓国空港公社の空港運営の専門性、ハンファシステムの航空安全ノウハウなどで差別化されたモビリティサービスを提供する」と語った。

高興航空センターに設けられたUAM乗客ターミナル。乗客が機体に搭乗する前に手続きを終えて待機する施設だ=チェ・ジョンフン記者//ハンギョレ新聞社

 LGU+とカカオモビリティが率いる「UAMフューチャーチーム」は、統合モビリティサービス(MaaS)プラットフォームの運用経験から、他の公共交通機関と連携しやすくするサービスを提供するという計画だ。実証にはUAM先進企業である英国のバーティカル・エアロスペースの機体「VX4」を使用する。カカオモビリティのチョン・ドグUAMサービスチーム長は「カカオT(タクシー配車アプリ)にはすでに航空、鉄道、タクシーなどすべての交通手段があるが、UAMタブを追加して目的地まで途切れることなく行けるようにするサービスを提供する」と説明した。

 ロッテ情報通信とロッテレンタル、ロッテ建設などが韓国の機体開発会社KENCOAとチームを組んだ「ロッテチーム」は、全国のロッテホテルやリゾートなど観光・流通インフラをUAM技術と融合したサービスを準備している。また、国内の航空・ドローン中小企業がチームを成した都心航空モビリティ産業技術研究組合(UAMitra)チームは、貨物運送を中心に実証に取り組んでいる。

 国土交通部は、これらの企業をはじめとする110余りの機関が参加する産学研政策共同体「UAMチームコリア」を通じて、安心して乗れるUAMシステムを作る計画だ。UAMの成否は、技術力に基づいた最高水準の安全度にかかっているからだ。国土部都心航空交通課のチェ・スンウク課長は「UAMの機体は国際線飛行機に準じて安全認証を受けるようにしている」とし「UAM1機が『10の9乗』(10億)時間(約11万4千年)の間に飛行する時に事故が1回起きる可能性といえるくらい高い安全性を備えるようにするということだ」と説明した。

2月28日、全南高興航空宇宙研究院航空センター上空を垂直離着陸機「OPPAV」が飛行している。チェ・ジョンフン記者//ハンギョレ新聞社

 今年8月からは首都圏での飛行実証も行われる予定だ。実証区間は3カ所で、仁川市西区梧柳洞(ソグ・オリュドン)のドローン試験認証センターから桂陽(ケヤン)新都市を行き来する「アラベッキル」区間(14キロメートル)では、準都心での安全性を実証することになる。高陽KINTEX~金浦空港(14キロメートル)、金浦空港~汝矣島(18キロメートル)をつなぐ「漢江(ハンガン)」区間では、UAMの空港地域と漢江回廊(制限された幅・長さ・高度に限定された狭い空間)を実証する。また、蚕室ヘリポート~水西駅をつなぐ「炭川(タンチョン)」区間(8キロメートル)では本格的な都心進出のための実証が予定されている。

 UAMの利用料金は1キロメートル3千ウォン(1人当たり)で、飛行時間5分ほどの金浦空港~汝矣島路線は5万4千ウォン(約6000円)程度と予想される。カカオモビリティの場合、現在タクシーサービスに適用中の「カカオブラック」の水準(一般タクシーの2~3倍)になると予想されている。

チェ・ジョンフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1130645.html韓国語原文入力:2024-03-03 19:14
訳C.M

関連記事