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ドローン、船舶、衛星…民間領域に進出する防衛産業企業の「理由ある変身」

登録:2021-02-11 06:30 修正:2021-02-12 06:47
「実戦用技術、民間でも即戦力になり得る」 
防衛産業企業、民間で未来の成長エンジンを模索
監視偵察・通信中継・艦搭載など多様な任務環境に活用できる200キログラム級多目的無人ヘリコプター=LIGネクスワン提供//ハンギョレ新聞社

 米国の防衛産業企業レイセオンは、軍用レーダーの研究の途中「極超短波オーブン」、現在の電子レンジを開発した会社だ。発売当初は「レーダーレンジ」と呼ばれていた。ボーイング社が製造したボーイング707旅客機は、防衛産業領域で軍用輸送機「C-135ストラトリフター」に変身した。最近になって防衛産業の装備が民間産業領域に適用される「スピンオフ」と、民間装備が防衛産業で活用される「スピンオン」が活発に行われている。

 防産業界が10日に明らかにしたところによると、韓国の代表的な防衛産業企業である韓火ディフェンスは先月、船舶用エネルギー貯蔵装置(ESS)開発のため、エネルギー効率ソリューション企業のダンフォース・コリアと業務協約(MOU)を結んだ。3000トン級の潜水艦「張保皐(チャンボゴ)3」の推進用リチウム電池技術を、遠洋または遠近海船舶の推進システムに活用しようというものだ。韓国政府が「グリーンシップK」政策の一つとして、まず2030年までに官民の船舶500隻余りを環境にやさしい推進方式に転換する計画を発表しており、市場性もあると評価されている。それだけではない。機動ヘリコプター(KUH)「スリオン」の製作に参加した韓火エアロスペースが民間衛星市場に進出しており、防衛産業の電子企業として発足した韓火システムは都心航空モビリティ(UAM)事業を本格的に進めている。韓火ディフェンスの関係者はハンギョレとの電話インタビューで「エネルギー貯蔵装置の船舶への適用は、市場の反応が良ければ本格的な生産と共に輸出も検討してみる価値がある」とし、「防衛産業の技術の中には日常に取り入れられるようなものがかなりある」と説明した。

韓火システムの潜水艦用リチウム電池システム=韓火システムホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 大信証券のイ・ドンホン研究員は5日、LIGネクスワンを分析した報告書で、「KAIST(韓国科学技術院)との人工衛星の共同開発提携、イノワイヤレス(5G通信)の買収、LG電子とのドローンの共同開発など、宇宙・民需事業での成長が期待される」と分析した。精密誘導兵器と小型無人ヘリコプター技術に強みを持つLIGネクスワンは先月、韓国電子通信研究院や光州(クァンジュ)広域市などと貨物輸送用無人ドローン(カーゴドローン、搭載重量200キログラム)開発に向けた業務協約を結んだ。「ドローンカー」分野への進出が目標だ。昨年はイノワイヤレスを買収し、防衛産業と民間が共に活用できる先端無線通信技術を開発している。最近は、韓国航空宇宙産業(KAI)が戦闘航空機の製作技術をもとに民間宇宙産業タスクフォースを構成し、現代ロテムはK2戦車技術をもとに、すでにトルコなどに公共交通用無人電動車を輸出している。

 防産業界では、民間産業で活用可能性が十分な先端技術を保有していることに焦点を合わせている。韓国政府が定めた売上高が国防予算の枠を超えるのが難しい軍事産業の特性上、民間部門への進出を新たな成長エンジンと見ている。戦闘空間が宇宙空間に拡大し、ネットワークを活用したサイバー戦など民間分野の技術と重なる領域が広がっている現実も影響を及ぼした。

 先月、産業通商資源部と国防部が共同主宰した国防産業発展協議会で、ソ・ウク国防部長官は「軍が先端技術の試験場になって民間の優秀技術を国防分野に適用(スピンオン)し、波及力のある技術をまた民間に移転(スピンオフ)して産業競争力と国防力を同時に強化する」と述べた。これについて防衛産業界の関係者は「防衛産業の技術はほとんどが軍で実戦に使われるもので、民間でも即戦力になれる場合が多い」とし、「企業も民間分野で成長の芽を見出す試みが増えるだろう」と述べた。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/982709.html韓国語原文入力:2021-02-1104:59
訳H.J

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