韓国の5大銀行の建設業に対する貸付の延滞額と延滞率が1年の間に約2倍に跳ね上がっている。高金利が長期化し、不動産市場の低迷と原材料価格の上昇が続いていることで、テヨン建設をはじめとして、営業活動のキャッシュフローの悪化で流動性の危機にさらされる建設会社が増えている。政府はついに最近、不動産プロジェクトファイナンス(PF)事業所に対する「秩序ある調整」に着手したが、年末年始を迎えて軟着陸できるかどうかをめぐる懸念は高まりつつある。
25日の金融界の話によると、5大銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリィ、NH農協)の建設業種に対する貸付残高は、今年11月末の時点で23兆2387億ウォン(約2兆5400億円)。この貸付は建設会社などに貸した資金で、昨年末(20兆3915億ウォン)に比べて14%(2兆8472億ウォン)増加している。延滞額と延滞率も膨らんでいる。今年11月末現在で5大銀行の建設業に対する貸付の延滞額は1051億ウォン(約115億円)で、昨年末(524億ウォン)の2倍を上回っている。延滞率も2022年末の0.26%から今年11月末には0.45%へと1.7倍(0.19ポイント)上昇。延滞率は0%台でまだそれほど高くはないが、上昇が速いため、不良化に対して緊張感が高まっている。銀行圏の関係者は「建設業に対する貸付の延滞率は他業種に比べ著しく高まりつつある」と語った。
特に不動産PF事業が懸念材料だ。不動産PFは事業の生み出す将来の価値を見込んで資金を前もって借りるため、開発計画に誤算が生じれば不良債権となりうる。不動産PFは特殊目的法人(SPC)を設立して資金を借りるケースが多いため、銀行圏では「建設業貸付」項目とは別に「不動産PF貸付」項目を設けて集計してもいる。今年11月末現在で5大銀行の不動産PFの貸付残高は18兆2404億ウォン(約2兆円)で、昨年末(14兆4487億ウォン)に比べ26%(3兆7917億ウォン)増えている。施工を担う建設会社は不動産PF事業に直接・間接的に参加するため、建設業貸付、不動産PF貸付ともに会社の資金状況に大きな影響を及ぼさざるを得ない。
不動産融資の不良債権化はノンバンクでも急速に進んでいる。PF貸付の不良債権化はノンバンクの方が深刻だ。今年第3四半期末の時点で、韓国国内の金融圏の不動産PF貸付の延滞率は2.42%。わずか3カ月で0.24ポイントの上昇だ。初期の土地購入費用などを高金利で貸すブリッジローンの割合が高い貯蓄銀行(第2四半期末4.61%→5.56%)、与信専門金融会社(3.89%→4.44%)、相互金融圏(1.12%→4.18%)など、いずれも延滞率が大幅に上昇している。
政府は不動産PF事業所の秩序ある「整理」に着手した。これまでは主に翌年の不動産景気の回復を期待しつつ貸付満期の延長を認めるというアプローチだったが、予想より高金利と不動産市場の低迷が長引いていることを受け、今や構造調整にも本格的に手を付けている格好だ。
キム・ジュヒョン金融委員長は22日、「不動産PFのキーワードは『軟着陸』と『秩序ある整理』だ。昨年から正常な事業所は支援を続け、問題のあるところは少しずつ整理している」と語った。政府が「玉と石のより分け」に乗り出したかたちだが、軟着陸までの道のりは険しいとみられる。韓国銀行は14日の「通貨信用政策報告書」で「建設・不動産業の延滞率が非銀行圏を中心として急速に高まっている。不動産市場の下振れリスクを考慮すれば、延滞率のさらなる上昇の可能性も排除できない」と警告している。