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韓国の行政ネットワーク機能停止を誘発した装備、2019年に生産中止の製品も

登録:2023-11-27 11:28 修正:2023-11-27 12:59
セオルシステム、耐用年数を超えたものや生産中止となった部品がほとんど 
2019年に行政安全部が「次世代システム事業」で予算申請したが 
2023年の企画財政部の審査で「費用対便益」を理由に脱落 
25日午後、政府ソウル庁舎で開かれた地方行政電算サービス障害の原因および今後の対策ブリーフィングで、コ・ギドン行政安全部次官が発表している/聯合ニュース

 韓国の公共機関で、耐用年数を7年も超過していたり、市場ではすでに生産中止となりプログラムのアップデートはもちろん修理部品さえ手に入らない装備がいまだに使われているなど、行政ネットワークの「装備老朽化」が深刻な状態であることが分かった。行政安全部はすでに数年前からこれを認識し、2019年から関連予算を要請してきたが、企画財政部は「事業推進の緊急性」などを判断し、予算配分対象から落としてきたことが確認された。

 関連の政府機関や業界を対象に26日まで取材した結果を総合すると、10月基準で行政ネットワークのサーバーを管理する国家情報資源管理院大田(テジョン)本部のインフラを構成する4200個余りの装備うち、25%ほどが耐用年数(有効使用期間)を超えた状態であることが分かった。このうち550個余りは耐用年数の超過期間が1年前後であり、200個余りは3年超過、7年以上の装備も15個にのぼる。

 先日、行政ネットワーク障害が起きた問題の震源地と指摘されたルーター(L3)装備の場合、行政安全部は25日に「老朽化ではない」と明らかにしたが、国家情報通信網のルーターの耐用年数を昨年改正し、これらの装備の耐用年数を従来の8年から9年に延長したことが確認された。外国産(シスコシステムズ)の同装備の導入日は2015年11月30日で、市場では2019年5月にすでに生産中止となったという。

 行政安全部は、行政ネットワーク装備の老朽化問題の深刻さを数年前から認識していた。2018年7月、行政安全部の地域情報支援課(現在は地域デジタル協力課)が作成した「地方行政共通システム再構築マスタープラン樹立(市・道、セオル行政情報システムおよび共通基盤システム分野)」という電子政府支援事業の提案要請書によれば、行政安全部はこの事業の目的を「生産中止および技術支援中止など、老朽化した技術の改善と性能の保障で、国民のサービス利用の利便性を向上させること」と明示している。サービス(運営)の安定性確保および障害発生時の対応時間の最小化なども挙げられた。

 行政安全部は、老朽化したシステムの改善を含む「次世代地方行政共通システム構築事業」を2019年から推進してきた。この事業は、全国17カ所の広域市・道の公務員が使う「市道行政システム」と、228カ所の市・郡・区からなる基礎団体の公務員が使う「セオル行政システム」を統合し、新たに改編することなどを含んでいる。デジタル行政サービスの根幹をなすこれらのシステムは、それぞれ2004年と2006年に開通して以来、これまでリニューアルされていない。

 だが、この事業は企画財政部の予備妥当性調査の対象検討段階で5回も落ち、昨年になってようやく調査対象に入った。しかし、今年上半期に行われた予備妥当性1次審査で、「費用対便益」の基準値である1点を超えられず(0.87)、再び脱落(1次審査)したという。

 高麗大学のキム・フィガン教授(情報保護大学院)は「政府の予算削減順位の1位が情報通信(IT)とセキュリティで、その中でも特にメンテナンス料率の現実化がなされていないことが問題」だと指摘した。キム教授は「民間企業が技術・装備の購入と交換に対してマスタープランを立て、それに合わせて履行しているように、政府も情報化戦略計画(ISP)を立てて従わなければならないが、今回の行政ネットワーク停止問題を見ると計画樹立と履行がまともにできていたのか疑問だ」とし「結局10年以上放置された老朽装備の『関節』がすり減り、駄目になったということ」だと指摘した。

パク・チヨン、イム・ジソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/1117933.html韓国語原文入力:2023-11-27 08:55
訳C.M

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