人口14億人のインドでアップルのスマートフォンの影響力が大きくなっている。プレミアム製品を中心に販売量を増やし、サムスン電子や中国メーカーのインド市場での立地を脅かしている。
5日、市場調査会社「カウンターポイントリサーチ」によると、アップルは今年第3四半期(7~9月)、インドのスマートフォン市場で四半期基準で最多の250万台を出荷した。これは昨年同期より34%成長した数字で、同じ時期に一斉に出荷量が減ったサムスン電子と中国メーカーとは対照的だ。アップルのインド市場での出荷量基準のシェアは5%水準だ。
注目すべきはアップルのスマートフォンの平均販売価格(ASP)が950ドルを超える点だ。昨年基準でインド市場のスマートフォン平均販売価格は250ドルであり、中低価格の製品が主に売れる市場だ。アップルが高価なiPhoneシリーズを通じてインド市場での販売量を増やし、ライバル会社のインド市場でのプレミアム戦略も再編されていると評価されている。
サムスン電子は今年第3四半期、インド市場で17.2%のシェアを記録し1位の座を守った。しかし、昨年同期よりシェアは2.3ポイント下がった。市場調査会社「カナリス」が推算した四半期出荷量は約790万台で、前年より約20万台減。中低価格ラインであるギャラクシーAとMシリーズをベースに出荷量を維持している。
中国メーカーは激しい追撃をみせている。シャオミ(Xiaomi)とvivoの第3四半期のシェアはそれぞれ16.6%と15.9%で、サムスン電子に迫っている。シャオミの第3四半期出荷量の推算値は760万台で、昨年より160万台減少した。中国企業のリアルミー(Realme)とOPPOもインド市場でそれぞれ14.4%と9.8%を占め、5位圏を守った。低価格製品の攻勢を前面に掲げた中国主要メーカーのインド市場シェアの合計は56.7%で、サムスン電子のシェアを3倍ほど上回っている。
インドは世界で最もスマートフォン市場の成長可能性が高い地域だ。国連経済社会局が推算した今年4月のインドの人口は14億2575万人だが、スマートフォン普及率は50%前半にとどまる。全世界のスマートフォン普及率が70%を超えたことをみれば、成長可能性がはるかに多く残っているわけだ。今年1年間だけで1億7500万台のスマートフォンがインドで出荷されると予想される。市場調査機関「IDC」は、インド全体のスマートフォンの中でプレミアムスマホ(600ドル以上)の割合は約17%で、中産層の所得増加と若年層の最新技術選好などでプレミアム市場が急速に成長すると予想した。
サムスン電子はインドでプレミアムフォンの販売を強化する戦略を展開している。サムスン電子のインド工場(ノイダ)でギャラクシーSシリーズやフォルダブルフォンなどのプレミアム製品を生産し、インド市場の攻略に乗り出した。アップルも2017年から中国中心の生産基盤を多角化するため、インドに生産工場の移転を進めている。