米国は来年半ば以降、政策金利の引き下げに乗り出すが、当分は過去のような1~2%台の低金利に戻ることはないだろうと、ハーバード大学の世界的な経済碩学であるケネス・ロゴフ碩座教授が見通しを示した。高い物価上昇圧力のために「高金利の長期化」(Higher for Longer)の懸念が現実化しうるという話だ。「ミスター円」と呼ばれた榊原英資元大蔵省(現財務省)財務官は、33年ぶりの最低水準に急落した円価値が底を打ち、現在より10%以上切り上げられると予測した。
世界経済研究院とハナ金融グループが2日、ソウル市小公洞のロッテホテルで「持続可能な明日のための偉大な一歩」と言うテーマで開いた国際カンファレンスには、ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学碩座教授、ケネス・ロゴフ碩座教授など経済学者や榊原英資元財務官など、世界の経済界の主要人物が参加した。
ロゴフ教授はオンライン討論で「遅くとも来年中盤以降には米国の政策金利が引き下げられるだろう」としつつも「本当に強力な景気沈滞があるまでは1~2%台にまで下がることはないとみる」と語った。「もし景気低迷があるとしても、政策金利が0%まで再び下がることは当分ないだろう」とし「インフレ圧力が非常に多く加えられているため」と指摘した。
現在年5.25~5.5%である米国の政策金利が、来年から引き下げられたとしても、当面は3~4%水準に留まるだろうという話だ。2008年の世界金融危機以後、長期で構造的な経済停滞(secular stagnation)に対応するために長期間0~2%台にとどまった低金利時代には戻らないという見方だ。ロゴフ教授は「若い世代が考えるように、0%程度の低金利が維持されると考えるのは非常にナイーブ(素朴)な見通しだ)」として「金融危機後の低金利は一時的なものとみなければならない」と強調した。
国際通貨基金(IMF)首席エコノミストを務めたロゴフ教授は、早くから中国の不動産市場バブルを警告してきた。この日も「中国のインフラ建設を通じた成長が限界に達し、今後の成長率もかなり鈍化し3%程度に下がるだろう」と述べた。
榊原元財務官はこの日のカンファレンスで「円は現在1ドル150円を突破したが、全般的に切り上げられるだろう」とし「来夏頃までに1ドル130円程度まで円高につながるのではないかと思う」と見通しを示した。現在の円安は日本が通貨緩和基調を維持しているためだが、来年は日本経済が米国より高い成長傾向をみせ、円高に転じるという話だ。
ノーベル経済学賞の受賞者であるスティグリッツ教授は、ビデオによる基調演説で「『会社は株主だけを気にすれば良い』という、新自由主義のいわゆる『株主価値極大化』が、私たちを破局の道に導いた」として、「環境・社会・透明経営(ESG)は持続可能で平等な未来を作るのに寄与する非常に重要な手段であり、標準化された公示が必須」だと強調した。
パン・ギムン前国連事務総長は「持続可能な明日のための偉大な歩みは、言うまでもなく気候危機克服のための行動」だとし「文在寅(ムン・ジェイン)政権時に発表した『カーボンニュートラル2050』を達成するためにあらゆる力を尽くさなければならず、そのための政治的意志が最も重要だ」と述べた。