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「前政権」の所得統計を上げるために文在寅政権が改ざん?…官僚も首かしげる

登録:2023-09-18 07:56 修正:2023-09-18 09:38
「統計改ざん」監査で波紋 
文政権発足直後の時期…実務官僚「通常の業務協議まで犯罪扱い」
ソウル鍾路区三清洞の監査院=イ・ジョングン先任記者//ハンギョレ新聞社

 国家統計改ざん問題に火をつけた監査院の中間監査の結果に対して、常識的でない、釈然としない部分が少なくない、との評価が示されている。実務官僚たちも「通常の業務協議まで犯罪扱いしているのではないか」と吐露する。

 17日のハンギョレの取材によると、監査院は、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足直後の2017年6月、国内家計所得が減少したことが判明したことを受け、所得統計に任意の加重値をかけるというやり方で、2017年の第2四半期から同年第4四半期までの家計所得を上げる改ざんを統計庁が行ったと判断した。

 問題は、2017年は家計所得統計を記載した統計庁の「家計動向調査」の信頼性問題が提起され、当時政府も調査結果についての記者説明会も開かないなど、積極的に宣伝していないという点だ。当時の報道もむしろ「税金で生産した統計をなぜ国民に隠すのか」と批判していた。監査院の監査結果は、2018年からの統計作成の中止が2016年末に決定された所得分配統計値を改ざんするために、統計庁が違法行為を働いたという話になる。政府が既存の家計動向調査を全面改編したうえで継続すると方針を変更したのは、2017年末だ。

 統計改ざんの背景も納得しがたい。通常、政府の政策手段の核をなす予算案は前年に編成を完了するため、新政権の発足直後の家計所得の変化を新政権の政策の効果だと解釈するのは妙だからだ。しかも2017年当時に波紋を呼んだ最低賃金の引き上げ、追加補正予算案の編成なども同年7月になされており、監査院が改ざん疑惑を提起した2017年第2四半期の家計所得とは事実上関係がない。統計庁の公務員らが所得主導成長政策を守るために、2017年第2四半期の家計所得統計を改ざんするという「犯罪」を犯す理由が弱いということだ。

 大統領府などが統計庁に不当な影響力を行使したという監査院の判断に対しても、反論が少なくない。一例として監査院は、大統領府が2018年第2四半期の所得分配指標が悪化したことを受け、統計庁に関連統計の報道参考資料の文言を変えるよう指示したことを問題視している。その文言とは「統計を解釈する際、サンプル世帯の構成の変化に注意せよ」というものだが、分かりやすく書くと、低所得の高齢者世帯などの増加によって国内の所得分配指標が悪化しているということだ。統計庁は最近も、韓国の所得分配状況を説明する際、メディアに対して同じ注意事項を述べている。

 雇用統計の監査結果についてもこれと似た脈絡から、違法というレッテルを貼るのは正しいのかと指摘されている。監査院は「2019年8月、非正規の期間制労働者が前年同月に比べ79万人も増加したことを受け、大統領は統計庁に『これは統計調査方式の変化が主な原因』だということをメディアに説明するよう指示した」という趣旨の説明をしている。監査院の指摘は、統計庁と大統領府いずれも特に検証もしておらず、そのうえで大統領府が調査方式の変化の影響(期間制労働者の約35万~50万人増加)を統計庁の独自推定(期間制労働者の23万2千~36万8千人増加)より高く見積もり、2019年8月の統計結果を前年統計と単純比較することは不可能だと説明するよう統計庁に指示したというもの。政府の統計作成機関のある関係者は「統計調査で現れた特異な値をめぐって行う政府機関同士の協議を違法とみなせるのかは疑問」だと語った。

 公表前の統計を統計庁が関係機関に提供することが違法なのかも曖昧だ。監査院は韓国不動産院の統計改ざんを説明しつつ、「作成中の統計」(週間住宅価格のその週なかばの値)の関係機関への提供を違法と判断した。しかし統計法は「市場不安などで関係機関の対応が至急必要と認められ、関係機関が業務遂行のために必要だと要請」する時は、事前提供を認めている。

パク・チョンオ、チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1108891.html韓国語原文入力:2023-09-17 18:00
訳D.K

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