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[社説]前政権の経済統計まで犯罪化する韓国監査院

登録:2023-09-16 01:43 修正:2023-09-16 07:52
ソウル鍾路区三清洞の監査院の様子=イ・ジョングン先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国の監査院が、チャン・ハソン元大統領府政策室長など文在寅(ムン・ジェイン)政権関係者22人に対し、「国家統計を操作した」として検察に捜査を要請した。彼らが政策の効果を示すために、統計の数値を操作または歪曲するよう統計庁と韓国不動産院などに圧力をかけたというのが、監査院の主張だ。しかし、このような監査院の「統計捏造」の主張に対し、前政権の関係者らは「あからさまな政治的監査」という反発している。

 監査院が15日発表した「主な国家統計作成および活用実態」の中間調査結果によると、争点となる統計は韓国不動産院が毎週全国の住宅価格を集計する全国住宅価格動向調査、統計庁が四半期ごとに1世帯当りの月平均所得を把握する家計動向調査、毎月実施する経済活動人口調査の大きく分けて3種類。最も議論になった住宅価格統計の場合、本来不動産院は週1回国土交通部に報告してきたが、2017年6月初めに文在寅政権初の不動産対策の発表を控え、平日値と速報値、確定値などに分けて週3回報告を行うようにし、予測値で報告された平日値より速報値と確定値が高かった場合は、その理由を究明するよう圧力をかけたと、監査院は明らかにした。住宅価格の上昇を負担に思った政府が、統計の数値でこれを下げようとしたと監査院は疑っているようだ。

 国の経済政策の判断指標である統計の数値を人為的に操作したなら、深刻な問題だ。しかし、文在寅政権関係者の行為が正常な業務の範囲内にあったのか、それともその範囲を越えたものなのかは、今後法律的に確かめる必要がある。ただし、監査院が監査を行う過程で操作したことが疑われるような部分が少なくなかったことに注目したい。

 これまで監査院は、文在寅政権に対し全面的な監査を行ってきたが、チャン・ハソン、キム・スヒョン、キム・サンジョ、イ・ホスンなど元大統領府政策室長らとキム・ヒョンミ元国土交通部長官など22人もの関係者に対する捜査を要請したのは、重要な分岐点になるとみられる。ところが、このような重大な状況を扱う監査院の処理方式が非常に荒っぽい。監査初期から同事案を「国紀を乱す統計操作」だと決めつけ世論を煽ったものの、期待した通りの結果が現れず、3回も調査期間を延長した末に調査チームを交替するなど、強圧的な調査で物議を醸した。また、事実関係がまだ確認されていない状態で、このように中間結果を発表する形で当事者の容疑を公表し、世論戦を展開したことで、「政治的な監査」だとの疑惑を自ら膨らませたわけだ。現政権でこれまで示してきた監査院の行動に照らしてみると、このような疑いは拭えない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1108767.html韓国語原文入力:2023-09-15 20:46
訳H.J

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