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水産物輸入再開求める日本…汚染水は安全だという韓国、対応論理あるのか

登録:2023-08-28 01:57 修正:2023-08-28 07:03
韓国政府が福島第一原発の汚染水放出を黙認したことをきっかけとして、福島産水産物の輸入が再開されるのではないかとの懸念の声があがっている。写真はある水産市場の日本産水産物の表示/聯合ニュース

 韓国政府が福島第一原発の汚染水放出を黙認していることで、日本産水産物の輸入を拒否する論理は事実上消え去ったと指摘する声があがっている。日本政府は、汚染水の放出が海洋動植物に及ぼす影響は微々たるものだという国際原子力機関(IAEA)の発表を盾に、水産物の輸入規制を解除せよとの圧力を強めている。

 日本の内閣官房、水産庁などの27日の発表を総合すると、日本政府は先月の福島第一原発の汚染水に関するIAEAの最終報告書の発表を契機として、福島産の農水産物に対する輸入規制の撤廃に向けて積極的に動いている。松野博一官房長官は最終報告書発表直後の記者会見で、韓国の水産物輸入規制について「日本産食品等に対する輸入規制の撤廃は、引き続き政府の重要課題であり、関係省庁間で連携しつつ適切なかたちで取り組みを進めていく」との考えを明らかにした。水産庁も、福島第一原発からの汚染水の放出後に原発のそばで捕れた魚類からトリチウム(三重水素)は検出されなかったという調査結果を発表し、水産物の安全性の立証に力を入れている。

 韓国政府は、2011年3月の東日本大震災による福島第一原発爆発事故の発生で放射能汚染水が流出していることを受け、輸入規制を導入。2013年にはそれを強化している。福島を含む8県のすべての水産物と、福島およびその近隣14県の27品目の農産物の輸入が禁止されている。日本政府は2015年5月、韓国政府を世界貿易機関(WTO)に提訴し、一審であるパネル(小委員会)では2018年2月に日本が勝訴した。しかし1年後、二審に当たる上級委員会では「食品汚染に影響を及ぼしうる日本の特別な環境的状況なども考慮すべき」として韓国が勝訴したため、現在も輸入規制が維持されている。

 環境諸団体は、韓国政府が汚染水の放出に「事実上賛成」したことで、農水産物の輸入規制を維持する論理が弱まったと指摘する。グリーンピースのキャンペイナーを務めるチャン・マリさんは、「汚染水の放出に反対の意思を表明しなければ安全性を認めていると解釈され、『水産物の安全が確信できないため輸入を規制する』という法的論理は弱まるだろう」とし、「国際海洋法裁判所への提訴のような国際法対応によって強力な反対意思を示さなければ、WTOへの提訴などを交えた日本による水産物輸入要求を拒否するのは難しい雰囲気へと流れてゆくだろう」と話した。

 専門家は、現在の輸入規制がWTO協定に則った暫定的措置であることに注目する。通商法の専門家であるソン・ギホ弁護士は「日本政府の主張する汚染水の安全性は、海の生態系環境を含むもの」だとし、「暫定的な日本の水産物の輸入規制措置を破壊しうる条件を作る」と指摘した。そして「韓国政府が輸入規制措置を維持するためには、必ず客観的リスク評価という根拠を示さなければならない」と付け加えた。

 韓国政府は日本によるWTOへの提訴の可能性を否定していない。一方で、福島第一原発事故を根拠に下された既存のWTOの判断は現在の汚染水放出問題と分けて考えるべきだとの立場を取る。産業通商資源部通商紛争対応課の関係者は「韓国政府の水産物輸入規制とWTOの判断は2013年の状況にもとづいたものであって、現在の汚染水放出にもとづくものではない」としつつ、「IAEAの総合報告書を尊重するという政府の立場は今後の輸入規制に不利に働くだろうという主張についても、韓国に直接的に悪く作用するという因果関係は成立しえない」と語った。

オク・キウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1105953.html韓国語原文入力:2023-08-27 16:54
訳D.K

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