若い頃は小さく思えた所得格差は、年を重ねるほど複利のように膨らみ、その格差は一般的な退職の時期である60歳前後で急激に広がる。年を取るほど所得格差が広がる「年齢効果」が韓国の家計所得の不平等に最も大きな影響を及ぼしているという分析が発表された。また、高齢化が深まるほど所得の不平等も拡大する見通しだ。
韓国銀行経済研究院のソン・ミンギュ研究委員らは14日、このような内容を骨子とする報告書「韓国の人口の高齢化と所得不平等」を発表した。同一年齢内の所得格差が全体の所得不平等にどれほど影響を及ぼすかを調べた研究だ。報告書によれば、1996から2021年の間にこのような年齢効果は家計所得の不平等の悪化に30%ほど影響していた。
具体的に見ると、年齢効果は40代半ばから有意の影響を及ぼし、法定退職時期を控えた50代後半から強まる。この年齢層に近づくほど、同じ年代で早期退職者と労働市場に残る人が明確に分かれることで労働所得の差が広がり、またそれまでに蓄積された資産から発生する所得によっても差が急激に広がるという。
報告書は、人口の高齢化が深まるほど年齢効果も大きくなるため、今後も所得の不平等はさらに拡大しうると指摘した。実際に1996年から2006年にかけては年齢効果の影響の度合いは21.2%だったが、1996年から2011年にかけては25.4%、1996年から2016年にかけては31.4%、1996年から2021年にかけては32.1%と、分析期間が長くなるほど高まった。年を追うごとに総人口に占める高齢人口の割合が高まっていることを考えると、分析対象期間の拡大によって年齢効果の影響の度合いが高まることは、高齢化と所得不平等との間に緊密な関係があることを意味する。
ソン・ミンギュ研究委員は「推定の不確実性はあるが、高齢層の人口の割合が高まれば、年齢効果の影響が今後は40%まで高まる可能性もある。過去の日本の研究結果を見ると、所得不平等に対する年齢効果の影響は40~50%に達すると分析されている。韓国もさらに高まる可能性がある」と述べた。